【沖田総悟】まってる。

ご。 ページ5

「最近、楽しそうだね。何か良いことでもあるのかい？」



私の担当のお医者さんはそう言いながら私の体を検査してくれている。



『はい！病院の近くに桜の木が生えてる丘あるじゃないですか。そこで面白い人に出会ったんですよ！』



ニコッと笑ってそう答えるとお医者さんはそうかいそうかい。と嬉しそうに笑った。



『なんだか変な人でですね、警察なのにずっとサボってるんです』



春風に揺れる栗色の髪を瞼の裏で確認する。

出会って２週間がたった。沖田は警察らしく、上司から逃げるためにあそこに来てるそう。

沖田から聞く話はとても面白くていつまでも笑っていれた。



近くに住んでいる目の死んだ天然パーマの男の話やそこに住んでいる天人のこと。

上司の土方という人のマヨネーズに夜な夜な毒をいれてること。

近藤さんというかたの猛烈な恋のアタックの方法のこと。


どれも新鮮な話だった。



するとお医者さんは暗い顔をして私の事を見た。




『…隠さなくていいですよ。私の体の容態、そんなに良くないんですよね？』



「…そうだね。良いとは言えないかな。」



やっぱりか。

私はごろんとベッドの上に寝転がった。まあ元々長くないってことは分かってたし。



「……もって、あと１週間だ。」



『…はい。』




お医者さんは心配そうに私を見たけど私は笑った。


『安静にしてたらまだもう少し持つんですか？』



「そうだね。まだ、持つかな。」



安静にしてても死ぬことには変わりはない。なら



『安静にしなくてもいいですか？
最後ぐらい、自分の生きたいように生きたいんです』




「……君の生き方は君が決めることだよ。私はただそのサポートをするだけだ。」




『……ありがとうございます！』



最後の最後まで貴方のそばで笑いたい。そう思うのは我が儘かな？沖田。




『それじゃあ、行ってきます』



そう言って今日も私は桜の木へと向かった。

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