怒れ、少女。【呪術廻戦】

6.才能、努力 ページ7

ジリリリリリ！！


｢本気(マジ)になったか！仕方ねえなあ！｣


五条悟が術式を捻ってスプリンクラーを破壊した。情けなく水が弾けて、両者の頭に降りかかる。


｢もう辞めな！2人とも！｣


私は硝子ちゃんの声を無視した。




物質化する術式に欠点は多い。
見抜かれやすい、体力が持ってかれやすい、捕われたら終わり。
ましてやポ〇モンやジョ〇ョみたいに、自分が力を持つ訳では無いとしたら尚更だ。

だからこそ今の時代は、他者間がなくとも自立的な呪術を扱えることや、空間を占拠する高度な技を会得することが求められたりして、比率的にも倍増した。


私は両方を持っている。物質化と非物質化。


それを自在に操ることができるまで1年かかった。意外に短いって？私も今になってそう思うよ。
ただ…それでも私は。







私は今、術式を非物質化している。

見せかけの炎をばらまいている。
スプリンクラーも警報も、一瞬のうちに火の粉を接触させて意図的に起動させた。
高専が災害や他からの被害に徹底しているのは知っている。


その眼で見ろ。もう分かったろ。
でも六眼って、



｢眼が六つある訳じゃねえんだろ！！？｣



私は背後から飛びかかって五条悟の頭を掴んだ。白髪頭が…九本くらい抜いてやる。
後頭部に膝でタックルしようとした次の瞬間。




｢俺の勝ち｣





バッ！！と、五条悟がカーテンが開けた。
まだ日の落ちない橙色を浴びて、私の視界はぼやけていく。


ドサッ


｢ほら、やっぱザコじゃん。｣





｢A！起きろ！｣
｢寝てる。…悟、お前何したんだ？｣
｢なーんにも。まあ強いて言うなら、こいつの言ってることを逆手に取った。｣



五条は、サングラスをかけ直して言った。



｢日を浴びれば体力が温存されるとか、探せばありそうだけどコイツは違う。
そんな万能な術式(モノ)あるなら、もっと対等な縛りを課せられてるはずだ。呪力が0とか？｣


家入が八重の髪をひと撫でして耳にかける。
さきほどの威勢がまるで嘘のように、子供っぽい寝顔を見せている。


｢…嘘ついてまで勝ちたかったのか。｣
｢こいつの術式は逆。日を浴びれば体力が削られてく。
朝より、夕方の太陽の方が持ってかれるらしいな。
その代わり最低限の呪力量で動き回れるし、常に一定だから、スタミナは一見(・・)無敵に感じる。｣
｢まあ、無事で良かった。いいものも見れたしね。｣


物質化、非物質化。

あれはまさに、才能。

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