7.新しい仲間 ページ8
「帰りたい…」
鍛錬で気絶した後、私は医務室に運ばれて2時間弱の仮眠を取った。
後に夜蛾先生が訪ねてきたので見舞いかと思っていたら、室内に怒号が響く説教の時間が始まった。
「責任は学校側が取る。次があれば1年全員退学処分だ!」と入学初日に指導を受け、そのまま日が登って今に至る。
新生活2日目は、マイナスのスタートを切った。
「おはよう。体調は治った?」
教室に繋がる廊下を歩いていると、聞き覚えのある声がした。振り返ると、片手を挙げて挨拶をする傑くんの姿が目に入る。
「おはよう…おかげさまで。あの、昨日はごめんね」
「気にしなくていいよ。そもそも悟が君を煽ったのがいけないんだ。」
傑くんは私の肩を叩き、教室に向かって歩き出した。
その行為が親切のために促しているものだと気づき、私は慌てて隣を歩く。
傑くんは両耳に大きなピアスをあけているせいか、耳たぶが垂れ下がってお地蔵さんみたいだ。
後ろにしっかりと結んだお団子から、一束前髪が乱れている。
性格もお地蔵さんなんだな。
「…あと、これは私からのお願いなんだが、アイツのことも名前で呼んでやってくれないか?
慣れない性格だけど、きっと不器用なだけさ。」
「そうだね…傑くん優しい。」
「そんなことないよ。」
呪いに生き、呪いに死ぬ選択肢を選んだ者は過酷な運命を辿る。
正直、彼のような人格者は向いていないと思った。
もちろんそれこそが彼の強さであり、この界隈に立ち向かうベクトルとなっているんだろう。
それでも、彼の望む未来がどんなものか、私には想像できない。
「悟くんに合わせる顔がないよ…」
「ははっ、大丈夫さ。一番怒ってるの硝子だし。」
「エッ」
ガラッ
「おはよう2人とも。A無事だよ……って何してるの」
「生死を別ける鬼畜ゲーム」
そこには、変な体勢を強いられて唸るばかりの悟くんと、足を組んで煙草を吸う硝子ちゃんがいた。
「ただのツイスターゲームじゃないか…1人しかやってないし」
「コイツ毎回肋が折れる位置を当ててくる!届かねェ!!」
「はいはい、次は赤だよ。」
「クソが!って、ヤシゲお前のせいだかんな!」
「わ、私?」
「Aを虐めた仕返しとして賭けを持ちかけたの。」
椅子から立ち上がった硝子ちゃんが私に近寄って、額にデコピンをかました。
「あだ」
「次嘘ついたらあんたも参加ね」
ちら、と横目に傑くんを見ると、傑くんが微笑む。
「うん…ありがとう硝子」
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tomishiro(プロフ) - また、本作はバトル描写が中心であり、恋愛描写は続編で明確になります。後者をご希望の方はもう少しお時間を頂きます。どうかご確認下さい。(こんなとこで話してますけど) (2022年6月20日 1時) (レス) id: 5a85062d9e (このIDを非表示/違反報告)
karenyoshi0308(プロフ) - 八重はいつか夏油と結ばれるんですか?ってコメント頂いたんですけど、難しいところです。 (2022年6月19日 22時) (レス) id: 5a85062d9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:とみしろ x他1人 | 作成日時:2022年6月3日 10時