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27.強くなったな ページ28

「父は、非術師の人間を心底嫌っていた。
呪いを生む種は消えればいいとか…挨拶のように言ってたよ。そのくせ私には過保護で、10年も屋敷に軟禁した。
私には才能があるからって理由だった。私はそんな矛盾だらけの父が、今も大嫌い。」


″弱きを助け、強きを挫く。″


今はっきり分かった。傑くんの思想はその通りだ。
私の父は強い癖に力を棒に振るった。そのせいで大勢の非術師がしんだ。
理不尽に抵抗できないまま踏み潰されてく人間が、どれほど多いことか。


「母親は?」
「母も一応術師だけど3級止まりだし、父と仲が良かったとは言えない。実際、2人が喋る姿は見たことがない。でも高専(ココ)に来るまでは一緒に住んでたし、いい人だよ。」
「…そうか」
「でもね、悟くん。だからこそ私は呪術師になりたかったの」


心機一転して、前を見た。悟くんの瞳孔が開き、私を捉えて魂を射抜く。
胸の奥にある熱が、火を灯す。どれだけ不遇な運命の輪にいたとしても、この火が消えることはない。
それを見抜いた悟くんがどこか安心したように肩の力を抜き、大きくため息を吐いて頭を掻いた。


「へいへい、分ーったよ。俺もそこまで疑ってねえし、血縁になればアンチ側だからな。あと、このことは硝子たちに?」
「言うよ。ツイスターゲームやらされるの嫌だし」
「あ?お前はやるぞ。今まで黙ってたろうが」
「人に言えない悩みぐらい良いよね!?」


すると、悟くんが手を差し伸べた。初めて出会った時に躱された握手を思い出す。


「…頭を掻いた手で握手しようと?」
「逆の手でも掻いてやろうか」
「結構です」





並の覚悟では務まらないということ、

それを胸に刻んで呪術高専を選んだということ、

今まで努力したからここまで来れたこと、

後悔したからここに来ようと思ったこと。





「強くなったな、A」





その全てを肯定してもらえるような言葉が、私を救った。








「…で、なんで私もこうなってるの?」


その後。
八重は罰としてツイスターゲームをすることになったが、五条からの指示で夏油も参加する羽目になった。


「体柔らかい奴にやらせてもつまんねえし、傑が邪魔しろ。」


五条は、夏油と八重の年相応の恥ずかしがる姿を写真に収めてからかいたいだけだったが…、


「A、すご。柔らかっ」
「でしょー?硝子、写真撮ったら送って」
「うわっ、すごいな。ちょっと気持ち悪い…」
「んだとオラ」


道のりは長いと悟った。

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tomishiro(プロフ) - また、本作はバトル描写が中心であり、恋愛描写は続編で明確になります。後者をご希望の方はもう少しお時間を頂きます。どうかご確認下さい。(こんなとこで話してますけど) (2022年6月20日 1時) (レス) id: 5a85062d9e (このIDを非表示/違反報告)
karenyoshi0308(プロフ) - 八重はいつか夏油と結ばれるんですか?ってコメント頂いたんですけど、難しいところです。 (2022年6月19日 22時) (レス) id: 5a85062d9e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とみしろ x他1人 | 作成日時:2022年6月3日 10時

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