26.真実 ページ27
｢汝…なんじ…｣
私は、何を言ったんだっけ。
思い出そうとするだけで身震いがする。
ものすごく怖い記憶だったのは確かだ。
なぜならあの後、父親は行方不明になったからだ。
全身が燃えるような痛みは夢だったかのように無くなっていて、その代わり隣にいたはずの父親が急にいなくなった。神隠しのように。
｢…おい、大丈夫か｣
｢大丈夫！｣
つい反射的に叫んだ。悟くんが心配するのは珍しい。
でも、できるならこれ以上は私の家庭に干渉しないで欲しい。あまりいい思い出がないから。
そんな表情が面に出ていたのだろうか。
悟くんは気まずい空気を誤魔化すように、足の裏で近くの砂利の粒を転がした。
いじけている子供に見える。ちょっと面白い。
｢…Aが対等な天与呪縛を結んでないことは分かってた。お前のペナルティが少なすぎるからだ。
ってことは、他者間の縛りを結んだ可能性が高い。
血縁関係は元々一種の″縛り″だから、互いの利益が多少は曖昧でも、縛りは成立する。｣
悟くんの目が…否、
全てを見透かす快晴の青。その色に支配されてしまえば、まるで金縛りにあったかのようだ。
｢でもな？他者間の縛りは習得が難しい。
その上、″相手の呪力コントロールのために自分の命を差し出す″っていう
……なあ、A。｣
悟くんが1泊置いて息を吸った。
｢Aの苗字って、
まさか、お前の父親って…呪詛師？｣
｢…うん。｣
近くの道路を歩いていた鳩が、向かい来る車に気づいて軽やかに空を飛んだ。
1つちぎれた羽根がタイヤに踏まれ、白かった毛が茶色くなる。…いや、もしかしたら茶色い鳩だったかもしれない。
｢……私、本当は高専に入れるはずなかったの。
でも、高専の
｢！…3週間待機した理由に気づいてたのか｣
｢夜蛾先生、嘘が下手なんだもん。分かりやすいよ｣
私はだんだん、悟くんの顔が見れなくなっていった。
2人の足と影しか見えない。
だって、
｢私、座学で呪術を勉強したの。悟くんが高専に来ることも、本当は知ってたよ｣
私は全てを吐くことにした。
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tomishiro(プロフ) - また、本作はバトル描写が中心であり、恋愛描写は続編で明確になります。後者をご希望の方はもう少しお時間を頂きます。どうかご確認下さい。(こんなとこで話してますけど) (2022年6月20日 1時) (
レス) id: 5a85062d9e (このIDを非表示/違反報告)
karenyoshi0308(プロフ) - 八重はいつか夏油と結ばれるんですか？ってコメント頂いたんですけど、難しいところです。 (2022年6月19日 22時) (レス) id: 5a85062d9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とみしろ x他1人 | 作成日時：2022年6月3日 10時
