#035.α×Ω ページ5
黒尾と月島が話している頃…
同時刻。
「…入って。」
「おじゃまします…」
国見に呼ばれて、部屋に来た。
…どうやら一人暮らしらしく、生活感のない部屋だ。
ソファに座るよう促され、その通りにする。
ふと、テレビの前に置いてあるDVDに目が行く。
「あ、怖いやつ。」
「…見る？」
「見る見る！」
国見も隣に座って、静かに鑑賞する。
「…わっ！！でた！」
「…まだ出てないよ。」
気がつくと、国見の手は、Aに握られていて…
そろりそろりと、だんだんAが近づく。
そのせいで、鼓動が早く脈打つ。
「…国見くんも怖いんだね。」
「…？…まぁね,」
本当は、君がいるから…
なんて。
_____________________________________
「……終わった？」
「終わった。」
ずっと、顔を隠して
画面から目を逸らしてた。
じゃあ…そろそろ いいかな。
オレ…ずっと我慢してたんだし…
「A」
名前を呼んで、押し倒した。
「…国見くんさ…何か隠してるでしょ？」
押し倒した…のに、随分と冷静なA。
「隠し事なら、あるけど。それが今、関係あんの？」
「ある。」
強い口調で、拒まれる。
____仕方がない。全て話す。
「…Aにはさ…痣があるでしょ？」
「…見たの？」
「いや…その痣、父親からの遺伝だから…。
____もう、分かったでしょ？」
オレとキミの関係。
「嘘だ…」
「嘘じゃない。」
ただ呆然と、オレを見つめるA。
「…好きだよ。」
Aの唇に…キスを落とした。
「わかってるなら…なんで…？」
涙目のA。
「…わかってなんかないよ。」
好きになった相手が…
腹違いな姉なんて…納得が行くはずがない。
「…やめないから。」
囁いて、首筋に顔をうずめた。
やめない…
やめられるはずがない…。
「…やめっ…！…お願い…っ！」
もっと、拒んで欲しい。
____もっと、声を上げて。
でないと、一線を越えてしまう。
____隣に聞こえるまで。
ごめん。
____本当は見せつけてやりたい。
…相反する感情の中で、葛藤せざるを得ない国見。
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作者名：色葉怜 | 作者ホームページ：http://uranai
作成日時：2014年12月31日 22時
