12 ページ14
そんな私の様子に気づいたのか、おやじさんが問いかける。
「助手になるの、嫌なのかい?」
「嫌じゃないんだけど……なんて言うか、もやもやする感じ?兄ちゃんもおじさんも大好きだけど、探偵業ってよくわかんないし……まあ、いつもお世話になってる兄ちゃんとおじさんの手伝いできるのは嬉しいけど、でもできることは助手だけじゃないじゃない?」
「何か、なりたいものでもあるのかい?」
「……別に、そういうのもないんだけど……」
不貞腐れたような私の声に、おやじさんはおなかを揺らして笑う。
「なんだか遅い反抗期のようだね」
「そういうんじゃないんだけど……なんだかな〜」
自分でも納得した答えが出せず、もやもやした気持ちを押し流すように珈琲を飲み干す。
空になった珈琲カップをカウンター上にあげ、立ち上がる。
「今日も来なさそうだし、もう帰るね」
「そうかい」
「じゃあ来週の火曜日に」
お代を置いて店を出た。
今日は風が強い。
またリボンを無くさないように外そうと思い、髪に手を掛けるとリボンの感触がなくなっていることに気づいた。
「またかぁ」
ため息をつき、くるりと回れ右をする。
幸い、まだ駐車場から出ておらず、フリーダムはすぐそこ。
落としているとしたら、そこしかない。
風にわずかになびく髪を抑えながら、フリーダムのドアを開ける。
カランカランというドアベルの音とともに声をかける。
「おやじさん、私のリボン落ちてなか……織田さん!?」
店内には優雅に珈琲を飲む織田さんがいた。
驚いて思わず大声を上げる。
ついでに、二人も驚いていた。
53人がお気に入り
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あき | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fallHP/
作成日時:2020年1月29日 20時