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「おじさんも兄ちゃんも、怒ると怖いんだよねー。おじさん、すごい強いし、迫力すごいし。そもそも顔がちょっと怖いし」
「ずいぶん大事にされてるんだね」
「でも、限度はあるじゃない?危ないから行くなーって言う割に、詳しいことは教えてくれないし。行ってくれなきゃ何に気をつければいいかわからないって言えば、今は、裏社会が敏感?とか、そんな感じになってるから、裏路地に入るのは危険だって、曖昧なことしか言ってくれないし。というか、気をつけろって言ってくるくせに、危ない事件現場とかには同行させるし……」
その言葉に、おじさんはふと思い出したように聞いた。
「そういえば、探偵をしてるんだっけ?岡ちゃんのお兄さんは」
「『名探偵』だよ」
私は、そっと訂正した。
「探偵って言うと、怒るから」
文句をぶー垂れて疲れた声でそのまま言うと、おやじさんはまたお腹を揺らして笑った。
「ちなみにおじさんは、兄ちゃんが所属してる探偵社の社長だよ。私も大学出たらそこに就職することになってる。兄ちゃんの助手として」
「じゃあ、将来は安泰なんだね」
「一応ね」
「一応?」
どこか含みのある言い方に、おやじさんは首を傾げた。
「たまに手伝うと、結構危ないことになるんだよねぇ。あの事務所」
「……探偵事務所なんだよね?」
「うん。あ、でも、不貞調査とか迷い犬猫探しはしないみない。切った張ったの荒事ばっかり。そのくせ、私に危ないことはするなーって……言ってることが矛盾してると思わない?」
「目の届かない場所で危ないことはしてほしくないんじゃないのかい?」
「……それは……そうなんだけど」
それくらいわかってる。
わかってるけど、私がそうやってやりたいことを制限されているのに、当の本人たちはやりたいことをやっているのだから納得できるはずもない。
「親の心、子知らずだねぇ」
おやじさんはそう言いながら、温かい笑みを浮かべた。
どうやらおやじさんは、おじさんたちの見方らしい。
私にとっては何にも面白くない。
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作者名:あき | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/fallHP/
作成日時:2020年1月29日 20時