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あの二人にとっての私の存在は衝動買いした家具、一度使っただけの玩具と変わりない。
一度日の目を浴びたが最後物置小屋から出ることはないんだ。
存在すらも忘れられ幾年後に埃が被った状態で見つかる。
そんな扱い。
もし孕んだ子供に愛があったのなら、少しでも産まれた私に興味があったのなら。
食卓に両親と祖父の三人分しか並んでいないことも話しかけても無視されることもなかったんだろう。
あいつと話したのはたったの二回、
_____「金にもならない老人を置いても俺達の生活が苦しくなるだけだ」
_____「やっ、やめてくれ！頼むから妻だけは‼︎」
どれも我が子に告げるようなものではない。
『下衆を殺して涙を流さないのと一緒だよ。
あいつらのために泣くなんて…涙の価値が軽くなる』
私が乳を飲んでロクに喋れもしなかった時代から祖父が政府に捕縛されるまで、本来親が成すべきことは全ておじいちゃんがやってきた。
母乳の代わりを調達したり、子守唄を歌ったり、食事を分けてくれたのも全部。
“河上A”という名前だって、おじいちゃんがつけてくれた。
我が子の育児に一切手を出さなかったあいつらを「親」だなんておかしな話だ。
あいつらに対して私は情けも容赦もない、あるのは祖父を殺した恨みだけ。
「…育児放棄って奴か」
だからこそ私をここまで育ててくれた祖父には感謝をしてもしつくせないほどだ。
なぜ私を産んだのか、それだけをただ親にきいてみたい。
…もう、叶いもしないけれども。
外の冷気で少しばかりは脳の整理が出来てきた。
過去のこととは言え多少熱くなりすぎた節もあるので深呼吸を繰り返す。
お恥ずかしい、どんな理由があろうとも疱瘡で家族を亡くした相手にこんな話をするなんて許されることではない。
彼がなんとしてでも取り戻したいものを私は一切の躊躇いもなく切り捨てたのだ。
相手を選ぶ話題だった故気まずくなりさっさと逃げようと足を動かす。
しかし房太郎は私の右腕を掴み自らの胸に私を引き込んだ。
所謂、抱擁と言う奴だ。
突如の行動に驚かされ胸板に顔を埋めながらも房太郎の顔へと視線をやる。
訳がわからず彼と目を合わせたまま僅かに首を傾げたら独り言のように呟く。
「いつか、俺が本当の家族を教えてやるよ」
表情は上手く読めないが房太郎のにおいと頭を滑る大きな手がやけに落ち着いて、冗談半分に笑って返した。
『そりゃ、楽しみにしとくよ』
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蛸山葵(プロフ) - モノクロ(蒼桜)さん» コメントありがとうございます。彼女の過去に需要があるのかどうか不安だったのですが、この作品を通じて何かを感じていただいたようでとても嬉しいです。親バカのようですが私も河上ちゃんのことが好きなので彼女の幸せを願っていただき大変光栄です。 (2月19日 21時) (
レス) id: eddcdf4797 (このIDを非表示/違反報告)
モノクロ(蒼桜)(プロフ) - ぐおぉぉおぉお、、、供給過多、、、。とてもよかったです、。「蛙の子は蛙」だとしても、、ほんの少しでも幸せに生きてくれぇぇぇぇ、、、。 (2月19日 17時) (レス) @page8 id: c1e95133f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蛸山葵 | 作成日時：2024年1月16日 21時
