71*助手席。 ページ31
「お、おはようございます！」
慌てて運転席から身を乗り出して、助手席のドアを開ける。
あ、もしかして後部座席の方が良かったかな？
外に出てドアを開けないと失礼かな？
そんなことを考えて、一人でアワアワしてしまう。
「んふふ、助手席、いただきまーす」
智さんが、するり、とネコみたいに助手席に乗り込んで、
ストン、と私の隣に腰を下ろした。
「あ、ここですよ」
シートベルトに苦戦してる智さんから金具を受け取って、カチャン、って音がするまで差し込む。
「ありがとぉ、右ハンドル、久々！」
なんか変な感じ、って笑う智さんは本当に無邪気で、
外車アピール⁉って普通の人ならイラっとしてしまいそうなことでも、
何だか可愛いな、って思うだけで許しちゃう。
「今日は青だねぇ」
私のニットの袖をチョン、ってつまんで、智さんがふわりと微笑む。
「青は…お気に入りなんです」
「んふふ、おれも」
「袖をチョンと持ちましょう」って、それ女子のモテテクニック講座とかに載ってるやつじゃん、絶対できっこないって思ってたやつじゃん！
こういう風にやるのね…って、なぜか少しだけ感心して、
キュンと来ちゃう男の子の気持ちがよくわかる。
「行きましょっか」
ちょっと赤くなった顔を隠すために、ハンドルをぎゅっと握って、前を向いた。
途中のコンビニで一旦車を降りて、ホットのレモンティーとココアを買って、ドリンクホルダーに入れる。
信号が赤になるたびに、
私に向かって「飲む？」って首を傾けて、
うんって頷くと、キャップを開けたペットボトルを差し出してくれるお節介な智さんが優しくて、何だか可愛らしくて
社長の運転手みたい、思ってたのを取り消した。
だって、隣に座ってくれて、お茶を渡してくれて、
おまけにプロみたいに上手な歌を披露してくれるなんて、
もはや私がおもてなしされてるみたいな気分だもん。
「智さん、おうちのイメージはもうできてるんですか？」
「えっとねぇ…細かいとこはまだだけどぉ、大体は出来てるかなぁ」
そういうと、智さんは小さいウエストポーチから、これまた小さく折り畳んだ紙を取り出して、
膝の上にぱらり、と広げた。
ハンドルから手を離さずに、
チラリ、と必死で覗き込むと、
「わぁ…」
色鉛筆で淡く色が塗られた智さんのお家のスケッチが、綺麗に浮かび上がっていた。
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璃夢(プロフ) - みっきさん» みっきさん、コメントありがとうございます。智さんのほんわかと優しさ、感じていただけて嬉しいです。私も書きながら癒しのパワーをもらってます笑 これからもどうぞよろしくお願いいたします♪ (2020年6月10日 0時) (
レス) id: 7d2e6a298f (このIDを非表示/違反報告)
みっき(プロフ) - 初めまして(^^)いつも楽しみに読ませていただいてます♪智くんのほんわかと優しい癒しオーラを感じて毎回読み終わったらほっこりしてます。次回更新も楽しみに待ってますね♪ (2020年6月4日 0時) (レス) id: 0364fca5be (このIDを非表示/違反報告)
璃夢(プロフ) - かえるさん» かえるさん、コメントありがとうございます。お話楽しんで頂けて、とても嬉しいです♪青い鳥の開設、今準備中なので、用意が出来たらすぐにお知らせしますね^ ^ これからもよろしくお願いします！ (2020年5月31日 0時) (レス) id: f209da7995 (このIDを非表示/違反報告)
かえる(プロフ) - いつも更新楽しみにしています！！差し支えなければ、智さんの新しいお家の見取り図が見てみたいです(^^) (2020年5月23日 1時) (レス) id: a9f7041f7f (このIDを非表示/違反報告)
璃夢(プロフ) - ゆうにゃんさん» ゆうにゃんさん、コメントありがとうございます♪ ドキドキしていただけて、とっても嬉しいです。これからもどうぞ宜しくお願いします！ (2020年5月20日 9時) (レス) id: f209da7995 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃夢
| 作成日時：2020年5月17日 22時
