取り柄 ページ15
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「じゃあさ、その状況を逆手に取っちゃえばいいじゃん」
角名はウンウンと頷きながら、半べそをかくAの頭を撫でる。後々参戦した治と銀島がまさか、と顔を見合わせて角名に詳細を問うた。コイツ、とんでもないことを考えているのではないかと。
「まさかそれ、北さんを脅す言うんやないよな」
「…悪い言い方をすればそうなる」
「北さん脅すとか無理!!却下、却下やで角名くん!!」
「まぁ、まず話聞いて」
角名は自分の考える、最高に面白くなるであろう作戦をその場にいた2年とAに話す。北がAのパンツを見てしまったことについて、それを逆手にとって彼を脅してしまえばいいのだ。嫁入り前にパンツを見られた、どう責任をとってくれるのだと。
恐らくあの北なら本気で責任を取りかねない。
「北さん、そういう押しには弱そうじゃない?そこを敢えて突くことで既成事実を作っちゃえば」
「ゲス!!角名下衆!!ゲスの極み角名!!」
「侑ちょい黙って」
治はくだらないボケをかます片割れを追いやって、思案顔で俯く妹の顔を覗き込んだ。いくら好きな人とて、下着を見られたのはさぞ恥ずかしかったろう。でも、それが彼女の恋という名の炎に油を注ぐことになればいいのだが…しかし
「私は、いくら北さんのことが好きでも…北さんを脅してまで付き合いたいとは思わん」
そう、言い切ったA。いつもあんなに結婚してくれ、と懇願しているAが初めてそう言った気がする。Aは照れくさそうに俯くと、にへらと笑いながら頭を掻いた。
「北さんのことは、そりゃ世界で一番大好きや。でもな、北さんが嫌がることして無理やり自分のもんにしても、いいことなんてなんもないねん」
「普段のアレは嫌がることじゃないん…?」
「侑!!今は黙り」
「私は、笑てる北さんが好きやねん。最終的に北さんが幸せなら、自分がどんだけフラれても見向きされんでもええねん」
Aは恥ずかしげにそう言うが、それを聞いていた二年は不思議で仕方なかった。何故に北のことをそれほどまでに想うのか。普通の恋する女子なら、角名の作戦にもホイホイ乗ったであろう。
なのに、Aは好きだという気持ちを後回しに北の幸せを一番に考えている。いや、好きだからこそ、かもしれない。
「Aちゃんはいつでも真っ直ぐなんだね」
「それだけが私の取り柄やもん」
「そんだけじゃない」
侑は笑って妹の頭を撫でる。我が妹の取り柄は真っ直ぐで、それでいて常に周囲の人のことを一番に考える優しさであると。その時の侑は胸を張ってそう言えた。
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かなで(プロフ) - この間初めて読んだのですが、面白すぎて一気読みしてしまいました！評価ボタンが一つなのがとても惜しいです笑 これからも頑張ってください！ (2020年3月8日 15時) (
レス) id: e96d9c0e1e (このIDを非表示/違反報告)
ぴいち(プロフ) - 月埜さん» 月埜さん、コメントありがとうございます。連載当初から見ていただいて、こちらも感謝の気持ちでいっぱいです。最後までお付き合い頂きありがとうございました! (2020年2月26日 22時) (レス) id: f952b08383 (このIDを非表示/違反報告)
月埜(プロフ) - 完結おめでとうございます。公開初日から読ませて頂きました。月並みな言葉しか言えませんが、主ちゃんと北くんの関係が最初から最後まで本当に素敵だなと思いました。素敵なお話をありがとうございました！ (2020年2月26日 18時) (レス) id: d1ca7a883a (このIDを非表示/違反報告)
ぴいち(プロフ) - 柿山さん» 柿山さん今回もお目に止めて頂きありがとうございます!!真っ直ぐな主人公とそれを蔑ろにしてくれない北さんのモダモダした関係が続きますが、気長に読んでいただけたら嬉しいです! (2020年2月14日 10時) (レス) id: f952b08383 (このIDを非表示/違反報告)
柿山(プロフ) - あああ〜〜もう今回も今回とて好きです!!!夢主さんの北さんに対する真っ直ぐすぎる感情表現が堪りません…!!しかもそれを雑に扱うのではなく、丁寧且つスパッと対応する北さんの在り方も素晴らしいです!!!これからゆっくりと楽しみにしております…!!! (2020年2月13日 22時) (レス) id: 296b088bbe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴいち | 作成日時：2020年2月13日 21時
