5 「疑似恋愛」 ページ6
『ん……っ』
重たい身体を起こす。
じんわり痛む肩を柔く揉みながら瞼を開けると、そこには見知らぬ部屋。
『……』
黙る、固まる。
その時、かちゃりと部屋の扉が開いた。
そこにいるのは何故か渡井くんで。
「あ、おはようございます。
雨野さ」
『き』
「叫ばないでください、セクハラでも拉致行為でも無いですから！
雨野さんの許可取ってますから！」
私の次の行動を予測した彼が、慌てて声を張り上げてそれを制止させた。
「思い出してください。
うちに住むって、昨日公園で交渉したじゃないですか」
そう言われて、はたと我に返る。
そうだ、「一日一回彼にキスする」という奇妙な条件と引き換えに、ここに住まわせてもらうことになったんだ。
『あー……、嗚呼、思い出した。
んで、何でこんな頭痛いんだっけ』
「だって雨野さん、僕が出したビール凄い勢いで煽るんですもん。
彼氏と別れたのがあれだったのかなー、と思って飲ませてしまった僕も僕なんですけど」
『いや、それは渡井くんは悪くない。
ごめん、見苦しいとこ見せた……』
幾ら精神的につらかったとはいえ、酔った私は人様の家で何をやってるんだ。
がっくり頭を垂れていると、「大丈夫ですよ」と慈悲深い応え。
「顔真っ赤にしてふわふわした表情してるの見たとき、雨野さんってこういう表情するんだなー、と思いました。
天然ではありますけど、僕の中で雨野さんはしっかりしてるイメージあるので。
可愛らしかったですよ」
『可愛らし……っ』
ダメだ、不意打ちはダメだ。
落ち着け私、彼は私に恋愛感情なんて無い。
それに、私もそう簡単に次の恋愛にうつれるほど多分タフには出来てない。
キスの練習台であり、私が一人住む場所に困っている時に助けてくれただけ、私との関係はそれだけなんだって。
わかっていても、ついつい表情筋が緩んでしまう。
ふるふると顔を左右に振る。
それを見て彼は不思議そうな顔をした後、にこりと優しく微笑んだ。
「嗚呼、朝ごはん出来てますよ。
食べます？」
『君は神か』
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ニコちゃんマーク - めっちゃ面白いです！最新待ってます！文字ってどうやったらこんなのにできるんですか？ (2019年7月30日 8時) (
レス) id: c2a6a5489d (このIDを非表示/違反報告)
かなと - なまむぎ。さん» この作品大好きです！更新待ってます！！ (2019年7月30日 6時) (レス) id: b9832c7634 (このIDを非表示/違反報告)
リリィドール＊ガチめに低浮上(プロフ) - 更新が停止となっていて、すごく衝撃を受けていた者です笑。また更新が再開されるとのことで、すごく嬉しいです！作者さんのペースで無理しない程度に頑張ってください！応援してます♪ (2019年7月15日 0時) (レス) id: e60ca59755 (このIDを非表示/違反報告)
なまむぎ。 - このお話とても大好きです！更新頑張って下さい！ (2019年4月22日 20時) (レス) id: 51d094ad46 (このIDを非表示/違反報告)
Dream★World(プロフ) - この作品好きなので、移転先教えてください……！！！ (2019年2月3日 18時) (レス) id: 093bdce514 (このIDを非表示/違反報告)
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