Diabla姫と悪魔執事 :2章【u/s/s/s】

夢への招待 ＊8 ページ45

「あれ、Aだけ帰ってきた。まーしぃとうらさんどこ行ってんやろ」

フロアに1人戻ってきた私は”さ…さぁ？”とシラを切る。
あの後抵抗する間もなくうらたさんに付けられたキスマークはどうやら魔法か何かで可視化出来ない様になっているらしい。
私の首から顔を上げ床に散らばった物の中から探しものを見つけた様子の彼はそれを手に取り、先にフロアに戻るよう私に言ったので気恥しさもありその通りにしたのだ。

しばらく坂田さんと談笑を続けていると急にフロアが暗転。思わず坂田さんにしがみつくと坂田さんは”大丈夫やよ”と優しく私の頭を撫でてくれた。

暗闇は数秒の後解除され、今度は目の前に今まで無かったものが突如として出現しておりさらに私を驚かせた。

驚かせたものの正体はホールケーキで、たっぷりの生クリームの上にデコレーションのイチゴがふんだんに散りばめられ、真ん中にはチョコレートのプレートに”HappyBirthday”A””の文字。

所謂バースデーケーキというものがそこに存在した。

「なに…？これ…」

「これがバースデーケーキに見えないならなんに見えるんやお前」

いつの間にかフロアに戻ってきてた志麻さんが呆れながら答える。その後ろには相変わらず笑顔のセンラさん。

「そりゃ、誕生日のケーキだけど…なんで…だってこれはハロウィンパーティーなんじゃ…そ、そもそも！なんで私の誕生日知って…」

「俺らの情報網と記憶力舐めんなよー、そもそも何年お前見てきてると思ってんだ」

音も気配もなく当たり前の様にうらたさんが横にいる。
理解の追いつかない私に困ったように笑いセンラさんは言葉を続ける。

「僕、今日のために1からスポンジ焼いたんです…センラのケーキ気に入らんかった…?」

「こらセンラ!自分だけで作ったみたいな言い方すんなや!俺だってクリーム作って絞ったやろ!」

「いちごの飾り切りは俺だし」

「プレートの文字は俺なー」


みんなが私のために作ってくれたケーキ

「気に入らない訳ないじゃないですか…！嬉しいです、凄く…！！！」

私の言葉に4人はホッとした様な表情をし

「改めて誕生日おめでとう、A。」

「「「おめでとう！」」」
「ありがとう！」

本日2度目の乾杯と共に楽しい夜は更けていった。

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