夢への招待 *5 ページ42
今、私の両手いっぱいにあるキャンディ、マシュマロ、クッキー、チョコレート。
“僕が行くより、Aから手渡されたほうが喜ぶと思うんで”と言葉を残し厨房に戻ってしまったセンラさんを見送り、坂田さんの元へ足を進める。
うらたさんと談笑中の坂田さんの邪魔にならないようタイミングを見計らい、うらたさんが席を外したタイミングで小さく声をかけると気づいた坂田さんがこちらを振り返り笑顔で私に話しかけてくれた。
「A!どーしたん?そんなお菓子たくさん持って!」
「センラさんが坂田さんに持って行ってあげてって」
手のひらいっぱいのお菓子の山を見て目をキラキラさせる坂田さん。”ありがとうな”と笑って山の中から一粒のチョコレートを手に取り、早速包み紙を開けて口の中へ放り込んだ。
数回の咀嚼の後、とろけるような笑顔でふにゃっと笑うと
「めっちゃ美味いで!Aも……ってそんな手のひらこんもりじゃ食えんよな…。A、この中ならどれが好き?」
そう矢継ぎ早に聞かれて若干戸惑いながら”チョコレート”と答えると、”おっけーチョコな!”とチョコレートを一粒、包み紙から取り出してあろうことか私の口元へと運んだ。
「へ…?あの、一体…?」
「何って、見てわからん?”あーん”やよ?ほら、A口開けて?」
曇りない目であーんを強要する坂田さん。
押し問答の末“早くせんと溶けて手汚れてまうから”との一言で私が折れ、観念して口を開けると彼は嬉しそうにあーんを施す。
(少し溶けて手についたチョコをペロリと舐める彼の仕草がやけに色っぽくてドキドキしてしまったのはここだけの話だ)
口いっぱいに広がるチョコの甘さを堪能していると坂田さんが“美味しい?”ってワクワク顔で聞いてくる。
”美味しいです!”と答えるとホッとした表情で
「よかった、人間界のお菓子って、魔界にはない分貴重でな?俺、Aに喜んで欲しくて人間界に買いに行ってん。…ほんとは俺が好きで食べたかったのもあるんやけどな?」
照れながら”内緒やで?”と言う坂田さんと二つ目の内緒事を交わす。
2人きりのヒミツがなんだか心地いいと思ってしまう。
「他のも美味しいで?Aも一緒に食べよ!」
誘われて一緒に席に着く。
2人で食べるお菓子は今まで食べたどんなお菓子よりも甘くてふわふわした味がした。
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悠永@星点灯ありがとうございます。(プロフ) - 結月。さん» 暖かいコメントをありがとうございます。1章出たての頃から見てくださっているとのことですごく嬉しいです😭途中間が空いてしまったりもしましたがきちんと完結させるつもりなのでどうか3章も引き続き見てくださったら幸いです🙇♀️ (2023年2月7日 10時) (レス) @page46 id: 41d5883f51 (このIDを非表示/違反報告)
結月。(プロフ) - コメント失礼致します。2章完結おめでとうございます!!作品ができた当初からいつも更新を楽しみにしておりました。物語の展開もすごく面白くて、大好きな作品です。これからもとても楽しみです。陰ながら応援しております…!! (2023年2月7日 4時) (レス) id: 286dc51d91 (このIDを非表示/違反報告)
悠永@星点灯ありがとうございます。(プロフ) - にやあ確定さん» 当作品初めてのコメントで、作者はとても感激しております!!!更新頻度の事、内容、楽曲の解釈共に褒めていただけてとても嬉しいです…!🥹決して短くない私の小説を読んでくださりありがとうございます。ぜひこれからもお付き合い頂けると幸いです! (2022年12月14日 8時) (レス) id: 41d5883f51 (このIDを非表示/違反報告)
にやあ確定 - コメント失礼いたします◎更新頻度が高い上に物語の内容にとても惹かれました...😽何より作者様の楽曲への解釈がとても素敵です‼✨素敵すぎる悪魔執事を書いてくださり有り難うございます😈✨ (2022年12月12日 22時) (レス) id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:悠永 | 作成日時:2022年11月24日 11時