夢への招待 *2 ページ39
「A…A!」
遠くの方で誰かが呼んでいる気がして意識が覚醒する。
「お、Aやっと起きたん?こんなとこで寝とったらあかんよ?風邪ひくで?」
寝起きでぼーっとする頭で”おはようございます”と返事をし、彼の発言の中にあった“こんなところ”というのが気になったので辺りを見回すとそこは前回の夢の続きの場所であるあの月下美人の咲き誇る屋上だった。
彼の口ぶり的に、どうやら私は屋上の壁を背もたれにして眠ってしまっていたらしい…。
人間って極限状態ならいつでもどこでも寝れるんだなと自分の神経の図太さに呆れつつ坂田さんに問いかける。
「坂田さん…帰ってきてたんですね、どうしてここに…?」
「おん、ただいま。せや、俺、うらたさんにA呼んでくるように言われてたんやった。」
そういえば前回の夢で一緒だった彼の姿は屋上になかった。
先に1人で屋敷に戻ったのだろうか、
それとも何かの事情で私をここに置いていかざるを得なかったのか…
そこまで考えて、どんなに声を枯らして叫んでも届かず暗闇の中に解けていってしまった夢の中の彼らを思い出した。
置いていかれたという状況が似てる気がして
どことなく気分が落ちて視線も下を向いてしまう。
「行こ、A。センラもまーしぃも待ってんで」
底なしに明るい声に思わず顔を上にあげると、目が合った彼はにっこりと笑い手を差し伸べてくれた。
差し出された手に向かい私は遠慮がちに手を伸ばす。
そして、触れようとして迷いその手はピタリと動きを止めた。
あとほんの数センチの距離で触れられるのに、また夢みたいに届かないのが怖くて手を取れない。
パシッと音がして自分の手がなにかに触れる感触にぐちゃぐちゃになった思考が再び動き出す。
坂田さんが強引に私の手を取り、ぎゅっと握ると私に背を向けそのまま風を切る勢いで走り出した。
「さ…坂田さん!?どこに…!?」
驚きながら着いていく私が息も絶え絶えに聞くと
彼はある場所でピタリと足を止めた。
そこは1階にある大きなホールの入口。
扉に手をかけ、坂田さんは微笑む。
「どこ行くかって?そんなん決まってるやん。今日はハロウィンだよ?ハロウィンと言えばパーティーでしょ!」
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悠永@星点灯ありがとうございます。(プロフ) - 結月。さん» 暖かいコメントをありがとうございます。1章出たての頃から見てくださっているとのことですごく嬉しいです😭途中間が空いてしまったりもしましたがきちんと完結させるつもりなのでどうか3章も引き続き見てくださったら幸いです🙇♀️ (2023年2月7日 10時) (レス) @page46 id: 41d5883f51 (このIDを非表示/違反報告)
結月。(プロフ) - コメント失礼致します。2章完結おめでとうございます!!作品ができた当初からいつも更新を楽しみにしておりました。物語の展開もすごく面白くて、大好きな作品です。これからもとても楽しみです。陰ながら応援しております…!! (2023年2月7日 4時) (レス) id: 286dc51d91 (このIDを非表示/違反報告)
悠永@星点灯ありがとうございます。(プロフ) - にやあ確定さん» 当作品初めてのコメントで、作者はとても感激しております!!!更新頻度の事、内容、楽曲の解釈共に褒めていただけてとても嬉しいです…!🥹決して短くない私の小説を読んでくださりありがとうございます。ぜひこれからもお付き合い頂けると幸いです! (2022年12月14日 8時) (レス) id: 41d5883f51 (このIDを非表示/違反報告)
にやあ確定 - コメント失礼いたします◎更新頻度が高い上に物語の内容にとても惹かれました...😽何より作者様の楽曲への解釈がとても素敵です‼✨素敵すぎる悪魔執事を書いてくださり有り難うございます😈✨ (2022年12月12日 22時) (レス) id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:悠永 | 作成日時:2022年11月24日 11時