マニアな愛 *16 ページ34
「ワガママ…ですか……?」
「そ、ワガママ。個人的でめっちゃ自己中なヤツ」
うらたさんはやけに個人的という点を主張してきて、それが何だか余計に気になり私は安易ではあるが承諾の旨を伝えた。
「いいですよ。そのワガママってなんですか?」
承諾の返事に小さく”ありがとう”と呟く彼の声が聞こえ、抱きしめられていた腕の力が弛み彼と私との間に少しの隙間ができる。
彼の顔を見上げると、既に私のことを見つめるうらたさんの真剣な眼差しがそこにはあった。
「俺に、坂田の上書きさせて。」
(そもそも…)
「上書きって……?」
心当たりのない上書きというワードに対し純粋な疑問を投げかけるとうらたさんは”マジか…”と呟きながら肩を大きく竦ませ溜息をつく。
「今から俺が、Aから感じる坂田の魔力をちょっと越えるくらいに魔力を注ぎ込むの。」
話を聞いた限り、つまり、うらたさんのいう”坂田の上書き”というのは正しくは坂田さんの”魔力”の上書きという事だろう。
しかし、人間に魔力を入れるということがどういった事を引き起こすのか。事故とはいえ私は自分の身を持って体験しているためそれを思い出すと不安が徐々に膨れ上がってきて自然と自分の表情が固くなっていくのが分かった。
そんな私の反応も想定内とでもいうようにうらたさんは淡々と話す。
「元々お前から感じる魔力もまーしぃがほぼほぼ抜き取った残りカス程度のもんなんだよ。センラはかなり感覚が優れてるから坂田の魔力って遠くからでも判別できただけで、多分まーしぃや坂田には感知出来ない。そんくらい微量な魔力に少し俺の魔力を足すだけ。気絶するほどの物じゃないから大丈夫。」
(うーん……そこじゃないんだけど…)
だから、安心しろと言わんばかりの説明を受けるが大事なのは気絶するかしないのかじゃない。
元々人間に備わってない魔力を持つ事で人体に影響が出た。その最終的な結果が気絶なだけで、そこまでいかなくとも少なからず体に変化が起きてしまうかもという不安が拭えないのだ。
以前に志麻さんが私から魔力を抜いてくれたという事実が何よりもそれを物語っている気がして。
(だって、魔力をそのままにしていても体に問題がないならそのまま放っておく事だって出来ただろうし…。)
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悠永@星点灯ありがとうございます。(プロフ) - 結月。さん» 暖かいコメントをありがとうございます。1章出たての頃から見てくださっているとのことですごく嬉しいです😭途中間が空いてしまったりもしましたがきちんと完結させるつもりなのでどうか3章も引き続き見てくださったら幸いです🙇♀️ (2023年2月7日 10時) (レス) @page46 id: 41d5883f51 (このIDを非表示/違反報告)
結月。(プロフ) - コメント失礼致します。2章完結おめでとうございます!!作品ができた当初からいつも更新を楽しみにしておりました。物語の展開もすごく面白くて、大好きな作品です。これからもとても楽しみです。陰ながら応援しております…!! (2023年2月7日 4時) (レス) id: 286dc51d91 (このIDを非表示/違反報告)
悠永@星点灯ありがとうございます。(プロフ) - にやあ確定さん» 当作品初めてのコメントで、作者はとても感激しております!!!更新頻度の事、内容、楽曲の解釈共に褒めていただけてとても嬉しいです…!🥹決して短くない私の小説を読んでくださりありがとうございます。ぜひこれからもお付き合い頂けると幸いです! (2022年12月14日 8時) (レス) id: 41d5883f51 (このIDを非表示/違反報告)
にやあ確定 - コメント失礼いたします◎更新頻度が高い上に物語の内容にとても惹かれました...😽何より作者様の楽曲への解釈がとても素敵です‼✨素敵すぎる悪魔執事を書いてくださり有り難うございます😈✨ (2022年12月12日 22時) (レス) id: 28b1a8c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:悠永 | 作成日時:2022年11月24日 11時