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度数の高い酒には御用心【かれん様リクエスト】 ページ12

中原中也は少々困り果てていた。
バレない程度に溜め息を吐くとポリポリと頰を掻く。
口を開くと目の前で酒を勢い良く飲んでいる自分の彼女 ─ 幸田Aに
声を掛けた。



「おい手前…ちっと飲み過ぎじゃねえか…?」

ぷはあっ…と。
Aはジョッキから口を離す。そして中也の方へと視線を向けた。


「なんでぇ…?」

「否…なんでっつッてもなあ…見た限り絶対 酔ってるし…」

「酔ってらい…‼」

「呂律すら真面に回ってない奴の云うことじゃねえよ」

此処までAが酒に弱いとは思っていなかったと。
中也は自分の腰辺りに「ぎゅう〜っ」と云い乍ら抱き付いてくるAを見て苦笑した。
同じBARで飲んでいた尾崎紅葉もAが酔い出した頃に帰って仕舞ったし。
さて…如何したものか。


「明日 二日酔い決定だな…手前」

「んふふ〜…」


「ッたく…」

仕方ねえ姫さんだ ─ 中也は そう言葉を続けるとAの膝の下と
首元に手を回してから軽々と身体を横に持ち上げ、俗に云う姫抱きをした。
ジョッキに付いた水滴を布か何かで拭いている此のBARのマスターの方を振り向く。


「金は次来た時に払う。じゃあな」



.
.
.


中也は姫抱きをしているAに「一寸 確り捕まってろよ」と云うと
愛車の扉を開けた。
そして未だ頭が ぼうっとしているのか焦点の合っていない目で中也を見つめているAを愛車の
助手席に座らせる。



「ん、ほらよ。此れでも飲んどけ」

「んぅ…?」

Aに渡したのは頭痛薬。ゆっくりとした動作で何とか其の薬を受け取ったAを
見届けた後 中也は扉を閉めて運転席の方へと回った。
あとは帰るだけ。エンジンを慣れた手つきで掛ける。其れと同時に今自分が気に入っている
音楽が流れ出した。


「ちゅう…や…だぁい…すき…」

すやすやと助手席で寝息を立てる彼女の寝言を耳にした中也。
思わずニヤリと口角を上げた。可愛い奴だと心の中で呟く。

翌日。
Aが中也の云った通り二日酔いになって仕舞ったのは云うまでもないだろう。

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天津川 愛梨(プロフ) - ビスマス.Biさん» ありがとうございます…!皆様のコメント、めっちゃ嬉しくて泣きそうになりながら読んでます。来週か再来週あたりまでには頑張って再開できるように、今ちょっとあるネッ友に相談に乗って貰っておりますので…はい、頑張ります…! (2018年5月13日 13時) (レス) id: 79151c8825 (このIDを非表示/違反報告)
ビスマス.Bi(プロフ) - コメント返信ありがとうございます!休業気負わずにしてください!!これくらいの年齢だと心身ともに負担がとてもかかるので休めるうちに休んでください。かくいう私も経験者ですが。私は閲覧者の一人として逃げも隠れもいたしませんのでプライベート頑張ってください! (2018年5月12日 23時) (レス) id: 3b22b6b168 (このIDを非表示/違反報告)
天津川 愛梨(プロフ) - 酒夜月さん» うん!又長くなるから、今日か明日か明後日か…(笑) まあ成る可く頑張る!楽しみにしといてw (2018年5月5日 21時) (レス) id: 79151c8825 (このIDを非表示/違反報告)
酒夜月(プロフ) - 天津川 愛梨さん» やった!有難う(*´▽`*)楽しみにしてるね(^^) (2018年5月5日 16時) (レス) id: 5d4c43be81 (このIDを非表示/違反報告)
天津川 愛梨(プロフ) - ビスマス.Biさん» 勿論良いですよ!了解です!酒夜月のあとになるので遅くはなりますが、気長にお待ちください!リクエスト有り難う御座います! (2018年5月4日 21時) (レス) id: 79151c8825 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天津川 愛梨 | 作成日時:2018年4月29日 18時

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