観音坂独歩(4) ページ5
side貴方
台所で食器を洗っていると聞こえた玄関の開く音。
慌てて水を止め手を拭いて玄関まで行くと鼻を真っ赤にさせて肩に雪を積もらせた幼馴染の姿。
「独歩⁉傘はどうしたの？朝持って行ってなかった…？」
「上司が持ってきてなかったから…」
「貸してあげたの？じゃあコンビニで、とか…」
「時間、なくて」
「…！」
仕方ないのはわかってる。
一番理不尽に思ってるのは彼自身だから私が不満を口にするのは駄目だ。
だからせめて、と思いまだもう一人の幼馴染が入ってるお風呂へ彼も押し込んだ。
「一二三！独歩ちゃんとあっためて‼」
「いや俺後でいいから…」
「駄目！こっちは部屋暖かくして待ってるからゆっくり入って来る事！」
風邪引いちゃったら元も子もないんだからと強引に扉を閉め台所まで戻ると夕飯の準備をする。
程なくして上がってきた彼はのそりと食卓につき申し訳なさそうに謝ってきた。
全く幼馴染に遠慮なんていらないのに。
「いやーAはいいお嫁さんになるね！俺っちAなら全然welcome！」
「女性恐怖症が何言ってんの。後おだてても何も出てこないよ」
「本心だって！独歩もそう思うよな！」
「っえ、あ、うん…」
「独歩無理しなくていいから」
苦渋の時間が終わってヘトヘトになってるのにこのテンションは辛いよね。
一二三にあんまり独歩に絡まないようにと注意してから洗濯機を回そうと席を立とうとすると急にぱしっと掴まれた腕。
びっくりして掴んだ本人を見れば焦ったような顔で…
「違う！俺は本当に思って…っいつも笑顔で、どんな遅い時でも飯用意して待っててくれて、本当に、Aが嫁になってくれたらって……、…っ‼」
「…へ」
「ｯぁ、そ、その、だから…！〜〜っ…‼ご、ごめん何言ってんだ俺はぁぁぁ‼」
「ど、独歩落ち着いて⁉大丈夫、大丈夫だから‼」
何が大丈夫なのか自分でもよく分からないけど彼のこの取り乱し様を見てしまったらそう言うしかなかった。
言われた言葉が何度も頭の中で繰り返され集まる熱。
誤魔化すようにその場を去り洗濯機のある脱衣所に駆け込むと扉を閉めてずるずるとしゃがみこんだ。
『Aが嫁になってくれたら…』
いつも謝ってばかりいた彼からの本音。
そんな風に思ってくれてたのが堪らなく嬉しくて、しばらくの間一人悶えていた＿＿＿＿
＿fin＿
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みかん(プロフ) - うわああさすがかっぱの子さん！！ワンピース小説大好きです...！！是非またワンピースの新作書いてください！待っていますー！ (2019年1月5日 21時) (
レス) id: 3dab1a0015 (このIDを非表示/違反報告)
rilu - あっ…神だ。（確信） (2018年12月31日 14時) (レス) id: d32ce14729 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かっぱの子
| 作成日時：2018年12月30日 15時
