Ｉ wish to be your only one …エピ１

佳き日のその後…１９ ページ19

オレのコトを、優しく見つめながら…太輔はオレの髪に指を通して、口を開いた…

「今日…朝、渉のトコ行ってきたんだ…」
「横尾さん？」
「うん…渉から聞いた…宏光が建築行きたいって決めて、すごく頑張ってたコトとか、いろいろ…」
「そう…横尾さん…今もだけど…いっぱい相談にのってもらったから……それで…？」

「オレさ…オマエが１０年前と変わらずに…オレが守ってやらなきゃダメな存在だと思ってたから、昨日のやり取りが少しダメージ大きくて…そのコト渉にグチってきたんだ…オレは宏光守るために、こんなに頑張ってきたのにーって…」
「うん…」

クスッて…太輔の軽い笑い声がして、オレのアタマをポンポンしてくる…

「そしたら、渉に言われたんだ…《オマエはいったい何からキタミツ守りたいんだ》ってな…オレ、なんも言えなかったわ…」

「オマエはこの１０年…オレの為に色んなコト考えて、毎日一生懸命生きていてくれた…オレに守ってもらうんじゃなくて…自分で道を見つけて、しっかり歩いてく強さ…身に付けたんだな…寂しい思いを抱えてるだけの宏光だったら、もしかしたらオレ、この再会…少し悲しかったかもしれない」

太輔の手が、オレの頬に添えられる…あの頃と変わらない…オレを愛しく思ってくれてるのが伝わる仕草…

「太輔…」
「オマエは、オレが思ってたよりずっと、ステキで、心のキレイなヤツになってる…オレ、それがすっげぇ嬉しいよ…宏光、離れてる間も、まっすぐ、ちゃんと生きててくれて…ありがとな…」

アタマをポンポンしてくれて…コツンとオデコがくっ付けられ、また離れた…目の前のオレを見つめる太輔の優しいカオが、嬉しかった…

「太輔…オレだって…オマエがアメリカで頑張ってくれてるの、尊厳してた…オレには周りに仲間がいたけど、オマエは…たった一人で行かせたから…」

「そだな…でも、一人じゃなかったよ…オレ」
「え…」
そういうと、太輔はオレの手を自分の胸に、自分の手をオレの胸にくっ付けた…

「約束したろ…カラダは離れてても、ここはずっと、いつでも繋がってるって…オレは一人じゃなかったよ…だから何だって頑張れた…オマエのおかげだ…」

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