《藤＋北》が、くっついた！？ ２ … ベトベト編

ベトベトな二人 … ９ ページ9

「藤ヶ谷、舞台稽古忙しいのは分かるけどさ、コンサートの準備もやらなきゃいけねぇだろ？、オレとお前の曲なんだぞ、オレだけで決めらんねぇんだよ」

若干の焦りを含んだ声が、俯いたままのオレの耳を通り抜ける…
プリントされた歌詞は、オレにやるせなさしかもたらさない…




GWから始まるコンサートの打ち合わせでその日７人が集まった

丁度個々に仕事を抱えてる時期で、全員で顔を合わせるのはわりとお久しぶりで…弟達4人は、部屋に入るなりテンション上げてきていた

特に玉は、満面の笑みが隠せない…ほっぺ緩ませながらニカ千宮とじゃれ合っていた

渉とはほぼほぼ毎日何かしらの連絡を取ってたから、そこまで《お懐かしや！ 》にはならなくて、かるーい挨拶交わしたあとは各々が控え室でテキトー過ごしていた

そしてドアが開く…背中越しの足音が、オレの心を一瞬でざわつかせた、北山だ…

振り向くことなく、オレは「なぁなぁ渉ぅ…」と声を掛けた、渉がチラリと北山を確認して、あーめんどくせぇて顔で「なに太輔？」と聞いてきた

「今度のライブさぁ、それぞれの土地で朝活やんね？」
「朝活？なんだそれ？」
「せっかく地方行くんだしさ、ライブ前にその土地の美味しいもん買いに行ったり、思い出に残ることしようよ」
「そりゃ、いいけど…」って言いながらも、なんで今その話？って顔に書いてある、

だって…久しぶりだし…自分がどんな顔してんのか、わかんねぇもん

「例えばさ、一緒にグリコの前で同じポーズして写メ撮るとか！」って、持ってた雑誌のページを開いて渉の膝の上にそれを置いた

「お、おお…楽しそうだけど…な…」って言ってたら、弟達が食いついてきた

「ガヤさんってさぁけっこう早起きだよね、30超えると体質的にそうなんの？」
「うんうん、オレこないだ連絡したら、オレもう寝るから話しない！ってピシャって言われた、ガヤもしやおじいちゃん？」

って、クっソ失礼なっ！アレはお前が掛けてきた時間が遅すぎたんだろ！良い子は寝る時間だわっ！

「あのなぁ！」って言い返そうとしたら

「ニカ千！藤ヶ谷は、今大きな仕事抱えてて忙しいの分かってんだろ？言っとくけど体調管理も大事な仕事のウチだよ、てかさ、お前らはもう少し遊びをセーブすることを覚えなさい、30超えると色々はえーぞ！」

って、北山が笑いながらニカ千を窘めていた

そしてオレの顔見ると

「ちょっと痩せたな…ちゃんとメシ食ってんのか？」
って、聞いてくれた

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