《藤＋北》が、くっついた！？ ２ … ベトベト編

ベトベトな二人 … ２９ ページ29

最初、オレとのこのパフォーマンスに少なからず躊躇いの思いを持っていた藤ヶ谷だけど、回を重ねる事にどんどん呼吸が合うようになってきていた、視線一つ、指先一つの動きでオレの動きにドンピシャに寄せてくる

気持ちいいほどハマる…この感覚を今まで以上に感じさせてくれたのが《REAL ME》だった


「…７年目を迎えてよく思うんだ、…後輩達も全力で頑張ってる、オレらも追う立場から追われる立場になってきた、だからこそこのまま黙って抜かされてたまるかよ…ってさ、あの頃の先輩達もそう思ってたんだろうな」

「そだな、焦りって言うのはないんだけど、やっぱ後輩には、常に背中を見せときたいっていう想いはあるよな」

「あの背中を絶対越えたい…って、すげぇ思ってたよ、まあ今も超えられない壁はまだまだあるけど…」

「だからこそ、前だけ見て走れんだろ、簡単に超えられる壁なんか、ぜってぇつまんねえぞ」

って思うまま言うと、藤ヶ谷がちょっとだけ目を見開いてクシャ…と笑った、出会いから言えば人生の半分を一緒に過ごしてきた藤ヶ谷…こんな風に笑った顔は、消せない記憶の中の《太輔》と同じだった

「北山っぽいな、そういうの…」
「そうか？」
「うん、チビっ子なのに心意気めちゃでけぇ笑」
「るっせ、チビ余計！めり込んでるだけ！」

って言うと、藤ヶ谷がクスクス笑った

「そだな…背負わせてきたもんな、色んなもん…７年目からはオレも背負うよ、一緒に…」
「え？」

イキナリの発言に、今度はオレが驚いた
藤ヶ谷はまたキレイに口角を上げた後、口を開いた

「北山のめり込みが少しでも浮上出来るようにさ！」

ポン…てアタマに手が置かれ、ヨシヨシされる
始めてされたその仕草に、オレはポカーンとなった

「さて、NEO REAL ME決めようぜ、本番は明日だからな…、オレ考えたんだけど…」

って、藤ヶ谷画伯のシュールな絵で示しながらアイデアを伝えてくる

「…あー、なるほどな、ならこういうのは？」
「ふーん北山そう来る？でもソレさファンの子達どう思うかな…」
「んじゃコッチは？」

藤ヶ谷とオレの二人だけのプレゼン、アイデアは尽きない…



そして、最終進化版の《藤北REAL ME》がカタチになった

「よし、衣装さんに協力してもらわないとな」
「そだな…、けど、オレの不注意でスタッフさん申し訳ないな…」
「ありのままで魅せる…それが《REAL ME》のコンセプトだろ？、全部受け止めてやるから、いつもみたいにぶつけて来ればいい」

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