淡雪恋蕾 … １３５ ページ47
「ココか…随分荒れた場所だな…」
大通りからは、かなり外れた路地を入る…
まだこんな場所があったんだと驚く程、手入れのされてない一角にそのアパートはあった
昼間とはいえ、歩いてきた道は夜の妖しげな雰囲気がそこかしこに漂っていた…、目付きのわるい男達が冬にも関わらず酔いつぶれて座り込み、目を閉じてる…
生きてんのか死んでんのか区別がつかない…仮に生きていたとしても、本当にただそれだけ…という風に見えた
この場所には、街並みが持つある種の躍動感は皆無…言うなら生活感すら見られなかった、無力感と無気力感…ココは人生を諦めてる人達が集まって細々と暮らしてる…そんな印象しかなかった
示されたアパートは2階…
表札は無く、部屋番号だけが頼りだった…
塗装の剥げかけたドアをノックする…
応答は無い…
指定された時間ピッタリのハズなのに…
もう一度、強めにドアを叩くと乾いた金属音がして、ドアが開いた
中の空気が匂いを伴って鼻に入る…
かつて無いほど饐えた匂いに、オレは思わず手で口と鼻を覆った
「なんだ、アンタか…柊羽が来んのかと思ってたのによ…」
酒臭い息を吐きながら、男が顔を出した
汚く澱んだ目は、今の今まで酒浸りだったことを示していた
こんな真昼間から酒か、何やってんだこの男は…
「柊羽は組長の許可がなければ外に出れないんで、オレが代わりに来ました」
腹立たしさが憤りに変わりそうで、オレは一先ず男にその事を伝えた、絶対にこの男と柊羽を会わせるわけにいかない
昨日のやり取りは、オレだけの胸に収めていた
二階堂には、酔った浮浪者が迷い込んだだけだと伝えていた、納得したかどうかは分からないけど、大した事じゃないから太輔や松永さんにも伝える必要は無いとクギを刺しておいた
太輔がいない時は、如月の決定権は全てオレにある、二階堂でもそれは覆せないコトだった
「まあ、いいや…上がれよ、べっぴんさん」
ドアを開きオレを中に上げる…凄まじく得体の知れない匂いに、むせ返りそうになった
「なんだこの部屋…」
思わずそんな声が出る…、生ゴミと空の酒瓶とタバコの吸殻…、…裸の女が表紙の無数の雑誌…寒さを凌ぐのは電気ストーブ一つだけだ
窓も開けないんだろう、吐きそうな匂いが、息をする度に肺の中に流れ込む、オレにはココが人が住むような場所にはとても思えなかった…
こんな劣悪な環境に、幼い柊羽はいたのか？
知れば知るほど、柊羽が些細な事を喜ぶ気持ちが理解出来た
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 418人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
GAYASAKURA(プロフ) - tryさん» ドキドキ展開になってるといいのですが、宜しければまた感想などお聞かせくださいませ！コメ大感謝です！ (2018年3月25日 23時) (
レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - tryさん» こんばんは！コメ返遅くなり申し訳ございません！こちらこそ、大量アップを目にして下さり感謝申し上げます！そして、安定の移行となりました！今回は旦那は出張中なので、とりあえず最強のラスボスにオファー致しましたｗ気に入ってくださると嬉しいです、 (2018年3月25日 23時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - pochiさん» 宜しければお待ちしております！コメ大感謝です！ (2018年3月25日 23時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - pochiさん» こんばんは！コメありがとうございます！コメ返遅くなり申し訳ございません、はい、閻魔的ラスボス降臨です、この方も色々悲しみを抱えて生きています、不器用ながらも息子の太輔を愛していることをお伝えできればなぁと思います、移行となりましたがコチラも (2018年3月25日 23時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
try(プロフ) - 大量更新ありがとうございます(／▽＼) 姐さん強し…されど、閻魔様やばし…ですねΣ(ﾟ□ﾟ;) 姐さんの覚悟に、太輔さんかと思いきやの…閻魔様。 毎回ﾄﾞｷﾄﾞｷの展開で、楽しみでたまりません( ´艸｀) (2018年3月25日 15時) (携帯から) (レス) id: 9d1b77fd6f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：GAYASAKURA
| 作成日時：2018年3月7日 23時
