藤北協奏曲…利家とみつ？ ２

MJK？… ５９ ページ15

「何者じゃ？名を名乗れ！」

馴れ馴れしいその態度に腹立だしさを覚え聞き返した私に、４人の男達は少し驚いたようだったが、中の一人が薄気味悪い笑顔を向けてきた

「えーなんか変わった女の子だなー、オレ気の強い子好きなんだよねぇ、ねぇオレ達のコト知らない？けっこう今売れてんだけど！」
「知らぬわ、そなた達と話すことなど無い」

みつ殿との約束が無ければ、直ぐにでもこの場を出ていきたいけど、そういう訳にもいかず私は会話自体を突っぱねる様に顔を背けた

「はぁ生意気…こーんな顔可愛いクセによ」

言うなり顎に手がかかり、男達の方に顔を向けられそうになった時、その手が誰かに払い除けられた

「汚い手でその方に触るでない！無礼であろう！」

空気を裂くような鋭い声音と共に、私は直ぐに引き寄せられ庇うようにその人の背中側に入れられた

黒い布の様なもので口元を覆い、顔立ち全ては見えないけれど、その声と後ろ姿には確かに見覚えがあった

「…そんな…まさか…？」

思わず漏らした私の声を捉えたのか、その人はチラリと目配せをし微かに目元を綻ばせ、再び四人組に向き合った

「無礼？…は、おまサムライか？」

多勢に無勢…、けれどその人は臆する気配など微塵もなく威圧感すら漂わせ私の前に立っていた

「ならばどうする？」
「はあ？てめ、アタマおかしいんじゃね？」
「おかしいのは其方達だ、男４人で女一人を囲むなど、不埒者の証！さっさとこの場から立ち去るが良い！」
「てめぇ誰に向かって…っ！」

別の男がその人に手を出そうとしたけれど、目の前の背中は微動だにしない、伸ばされた手を掴み、男達と真っ向から対峙していた

「去れと申しておる！！」

有無を言わせないその言葉と佇まい…、気圧された男達の顔つきが変わったのが見えた

「…やめろって、ここがドコかわかってんだろ？…スタッフさんも達見てっぞ、やめとけ！」

背後からやんわり促してきたのは、みつ殿だった


今は自分達の分が悪いと悟ったのか、四人組はキツい視線と舌打ちをしてこの場から去っていった


「…大丈夫か？一人にしてゴメンな…」
「いいえ、お気になさらないで…」

みつ殿にそう答えた私を、《その人》は万感の想いを込めた瞳で見つめてきた


口元の布を取り、現れたその顔は…一度も忘れたことのない愛しい《その人》だった


「…みつ姫、やっと、…やっと見つけました…」

震える声とその目に浮かぶ涙…

…だけど……


「お願い、私を見ないで…っ」

MJK？… ６０→←MJK？… ５８

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す