藤北協奏曲…利家とみつ？ ２

MJK？ … ４７ ページ2

｢はい、これお土産！｣
｢お土産？私にですか？｣
｢そう、開けてみな｣

白い紙袋を渡すと、キョトン顔にフワリ笑顔が加わった

｢ありがとうございます！｣

そう言って、中から赤いリボンを掛けた箱を取り出し、覚束無い手付きでリボンを解いていく
期待感溢れる表情は、見てるオレの頬も緩むほど可愛らしい…あ、でも自分と同じ顔だから、では無い！

箱を開けたみつ姫の瞳に、キラキラと光を纏ったように思えた

｢みつ殿、この花は《撫子》ではありませんか？｣
｢そうだよ、みつ姫利家の思い出の花でしょ？気に入った？｣

｢もちろんです！…ホントに美しい…そして懐かしゅうございます…｣

自然に咲いてるようにしたくて、敢えてアレンジは頼まなかった、出来るだけ葉っぱも残してほしいと伝えたので、瑞々しい花の色そのもので届けてもらえた


みつ姫はそれを箱から出すと、壊れ物の様に大切に胸に抱きしめ、花に顔を近づけた

｢いい香り…私の花畑に咲いていたのと同じ…いいえ、もっと良い香りが致します…利家様と花摘みをしたコトを思い出します｣

｢花摘みしたんだ？｣

｢…はい、戦で焼け野原となった村の…、犠牲になった者達への手向けの花でございます｣

｢そっか…みつ姫の生きていた時代は、戦ばかりの世の中だったよな…｣
｢…戦で犠牲になるのは、女、子ども、年寄り…そして刀を持てない弱きものです…父上は、優れた領主たるものこそ、弱きものにこそ目を向け、守ってやらねばならぬと常々仰って居られました、…女な子の私に出来ることは、失われた命に花を手向け、残された者の悲しみや苦しみを聞く事しか出来ませんでした…｣

｢利家も一緒に？｣

｢はい、利家様も私と戦で犠牲になった村を巡りその有様をご覧になられていました、民の声を聞いた帰り道、夫婦になり共に良い国を築こうと、約束をしました｣

そう言って、自分の小指を見つめた
何となく、その時の二人が見えるような気がした

茜色の空の下…微笑みながら小指を絡ませ約束を交わすみつ姫と利家…

ふと、利家の顔が藤ヶ谷とダブった…
覚えてなんか、いないよな…アイツは…

｢…みつ殿も、大切な約束をした方の事を考えておいでですね｣
｢ん？…もう、アイツ覚えてねぇよ…きっと…｣

｢そんなことはございませぬ…藤ヶ谷様、きっとみつ殿と交わした約束は覚えておられますよ、藤ヶ谷様は利家そのものですもの！｣



｢ありがとな…、そだ！みつ姫、藤ヶ谷に会わせてやろうか？｣

MJK？ … ４８→←GAYASAKURAです！

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す