LOVE CASTE … 恋哀階級

CASTE … ２７ ページ29

2日後…

｢北山、木村常務がお呼びだ、すぐ常務室へ行ってくれ｣

外周りから戻るなり、営業部の櫻井部長がオレに指示してきた

｢…常務が､ですか？｣
｢ああ、お前が帰ってくるのお待ちかねだ！このまま直ぐ行ってこい｣
｢あ、はい…｣

とりあえず、カバンを置いてエレベーターホールに向かう、タイミング良く開いたのに乗り、常務室の階数ボタンを押した

何の用だ…？

考えられるのは一つしかない
相澤総合病院からの契約に関して何かしらのアクションがあったんだろう

でも、それなら担当はタマだ
アイツは新しく業務提携を結ぶ漢方薬の卸業者と打ち合わせに行っててまだ帰ってこない

オレはあくまで補佐的な役割で対応してるんだけどな…

扉が開き、オレは足が埋まりそうな絨毯を踏みながら常務室へ向かった
途中秘書課を通して常務に連絡してもらい、常務室の扉をノックした

｢入りなさい…｣

渋い声だ…
｢失礼致します｣

ドアを開けると、そこには木村常務と滝沢部長が向かい合って座っていた

オレを見ると、滝沢部長がウインクして満面の笑みを浮かべる

｢滝沢部長もおられたんですか？｣
｢おお、可愛い後輩の成功を祝ってやろうかと思ってな｣
｢なんですソレ？、…あ、失礼いたしました｣

気さくな物言いについコッチもくだけた口調になってしまい、慌てて口を噤んだ

｢構わないよ、滝沢部長は私の直属の後輩だ、そして北山は滝沢の愛弟子、私も嬉しいよ｣
｢あの、…何かありましたか？｣

｢あ、悪い悪い…だよな、北山良くやってくれた、相澤総合病院から新薬の取引契約を結ぶとさっき連絡があった、ホントにありがとう｣

｢ホントですか！？あ…良かった…っ｣

契約の嬉しさも勿論だけど《必ず契約を取れ》とのプレッシャーから解放された安堵の方が大きかった、ホッとして思わずため息がでる

｢北山、この契約は絶対ウチで取らなきゃいけないものだった、お前に任せて正解だったよ、ホントに良くやってくれた、感謝の一言しかない｣

木村常務は立ち上がると、オレの手を取ってブンブン振ってきた

｢こちらこそ…お役に立てて何よりでした｣

｢それで先方の山下医師がな、この契約も含めて今後はぜひともお前を相澤総合病院の担当にして欲しいと要望があってな、もう暫く営業部で後輩の指導を含め頑張ってもらいたいというのが木村常務のお望みだ、オレもそうしてもらいたい、それでいいな？｣


｢…っ、相澤総合病院をオレが担当するんですか？｣

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