37話 ページ40
「こんなトコにいやがった…」
校舎の屋上…硬いコンクリートの床に寝そべって、秋色の空と心地いい日差しを受けながらウツラウツラしてると目の前に影が出来る
開けたくもない瞼を細めに開くと、立ったままオレの顔を覗き込む渉の目と視線が合わさった
「…ソコ邪魔、オレ眠ィんだけど…」
「もう放課後だ、おま、どんだけ寝てんだよ」
クスクス笑いながら、渉が隣に座ってきた
「あ?、マロン公認だし、別に問題ねぇだろ…」
「昼寝はな、けどミツの件は大問題ちゅどーんだろ…どうすんの?ミツあのままでいいのかよ?」
泣かせたまま…傷つけたまま……
嫌われたまま⋯────────⋯
シン…と胸の中が冷えていく…
頬を抜ける風は、まだ仄かに温もりがあると言うのに、オレの胸は、息が白くなるほどの冷たい風に身震いを覚えるほどだった…
《藤ヶ谷なんか、大ッ嫌いだッッっ!》
「…いいさ、アイツに限らず、どうせオレは人を傷付けるコトしか出来ない……嫌われるのは慣れてる…」
実の親にさえ、オレは厄介物なんだから…
「…ミツの言ったこと、まんま受け取ってんのか?」
寝転んだままのオレに視線を向けて、渉はそう言った
「いんじゃね?それで…それ以外ねぇだろ…」
自嘲気味の笑いがこみ上げる
八つ当たりみたいに怒鳴りつけ、泣かせてしまったのはオレだ…全部自業自得…受け入れるしか無い…
太陽、傾いてるくせにヤケに眩しいな…目が痛てぇ…顔の前で両腕をクロスして、オレは視界を全て遮った
「太輔さ、頭脳偏差値バリ高のに、恋愛偏差値めっちゃ低いのな、結果大バカだな!」
キッパリハッキリそう言われ、ムッとするオレ
「非リアに言われたくないんですけど」
「非リアで悪いか?オレは好きでもないヤツと、お試し恋愛なんぞしたいと思わないからな」
「お試し?」
「佐倉…どんな事情があるのか知らないけど、ホントに付き合ってなんか無かったんだろ、なのに…」
驚くオレに、渉は極めて普段通りの口調で聞いてきた、重なる二つの面影にオレはつい口を開いてしまう…
「…アイツ、いいオンナじゃん」
「ミツに似てるからか?代わりにしたかったのか?」
思いもよらない渉の言葉…狼狽える自分を隠そうと、オレは敢えてキツい視線を向けた
「はあ?オマエ、何言ってんの?んな気色悪いコトあるわけねぇだろ」
怯む様子も無く、渉はオレを真っ直ぐ見てくる
「そうかな?ミツのあの言葉、オレには真逆の言葉に聞こえたけどな…」
608人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「藤北」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
GAYASAKURA(プロフ) - daimommさん» 宜しければ最後まで見守って頂ければ嬉しいです!コメ大感謝です! (2018年4月9日 23時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - daimommさん» こんばんは!コメ有りのお知らせが来て、ビックリしましたーw再読ありがとうございます!なんか恥ずかしいw、設定がブレまくってるので、その辺は大目に見て下されば有難いですw恋蕾は、vol.5に入ることが決定でございます、相変わらず無駄エピ増えてますが (2018年4月9日 23時) (レス) id: 3b1ef006c1 (このIDを非表示/違反報告)
daimomm(プロフ) - こんにちは!恋蕾で胸がざわざわして落ち着かないので、二人の原点を再訪しました。二人の絆を再確認して、恋蕾で来るであろう衝撃(?)に備えようと思います!恋蕾がUpされるまでに読みきれるかな・・ (2018年4月9日 17時) (レス) id: 4014bb6c4e (このIDを非表示/違反報告)
GAYASAKURA(プロフ) - さらさん» こんばんは!コメありがとうございます!藤北、どうにか仲直り?出来そうな予感w勘違い過ぎるみっくんに、太ちゃんどうやって気持ち伝えさせようか思案中です、ユルユル更新となっておりますが、どうぞ宜しくお願い致します!コメ大感謝です! (2016年12月3日 18時) (レス) id: 0cce3636ea (このIDを非表示/違反報告)
さら - ピュアな北山くんにキュンとします!でも違うよ、なんでそうなった!?って突っ込みたいくらいのすれ違い(困)辻褄が綺麗にあってしまう見事なすれ違い、というか勘違いに藤北ぁーーーってなってます。作者さんが大切にこのお話を進めているのを感じ、応援しています (2016年12月3日 12時) (レス) id: 711613c946 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:GAYASAKURA | 作成日時:2016年11月13日 22時