検索窓
今日:3 hit、昨日:13 hit、合計:596,320 hit

8話 ページ9

最寄駅で降りたオレ達は、駅構内のハンバーガーショップに入った

まだ少ししんどそうなミツを座らせて、テキトーに頼んだモノを運ぶ…ホラ、とミツの好きなジュースを渡すと、少しだけ笑ってくれた…
ホッとするオレ…


「ゴメンね…せっかく部活休みなのに…」

「気にすんなよ、また行けばいいって」

そう笑い飛ばしたオレの顔を、ミツは寂しそうに見つめてきた


「ミツ…なんかあった?」

コップに挿さったストローを、落ち着かなさげに弄びながら、ミツは、ためらいがちに口を開いた…

「…太ちゃん…オレね…引越しするんだ」

「え、どこに?」

「おじさんの家…」

「なんで?」


俺の問いかけに、目を伏せて、哀しそうに笑った…

「ウチの親…離婚するんだ―…オレ、お母さんと一緒に、一旦おじさんの家に住むことになって…」

「そう…なのか…」

「学校も、転校することになるから…」

「学校も…?」

「太ちゃんと同じ高校行きたかったけど、オレ、バカだからムリっぽいし……へへ…」

笑ってるミツが、オレには泣いてるようにしか見えなかった…


「今までありがとう…太ちゃん―…、ずっと仲良くしてくれて、いつもかばってくれて、嬉しかった…」

「なんで過去形なんだよ、これからだって友達だろ、会えるじゃんか」

「でも…」

オレは、咄嗟にミツの手を握った…小さな…俺の手に隠れてしまうような…

「 …ミツ、オレ心配で…お前一人にしとけない…―っ!」

「…太ちゃん…―」


ミツの大きな瞳から、ぽろぽろと涙が伝う…

「…ゴメンな…オレがもっと…お前より大人だったら…ずっと一緒にいてやれるのに…―ッ」

「オレなら大丈夫だから…、いつまでも太ちゃん頼ってたら、一人でなんにもできなくなるし…もう忘れなきゃ…ね―…」

忘れなきゃ…?…あのコトを言っているのか?


「…忘れられんのか?」

そう聞いたオレに…ミツは…キレイな微笑みを浮かべ、コクンと頷いた…


「…がんばるね…―…太ちゃん…」

9話→←7話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (279 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
649人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

GAYASAKURA(プロフ) - はに〜さん» こんばんは!コチラにまでコメ頂きましてありがとうございます!うんうん、藤北ってきゅん神ですよね!切ない想いをリアルで伝えたコトが無いので、ただ今妄想大爆発中ですw!コメほんとに励みになります!ありがとうございます! (2015年8月17日 20時) (レス) id: 9f07080ee9 (このIDを非表示/違反報告)
はに〜(プロフ) - おみつって、どうしてこんなに健気がハマるんでしょうか、、藤,北って どうしてこんなに切ないのがハマるんでしょうか、、藤,北クオリティ、、引き続き 楽しみにしております! (2015年8月17日 15時) (レス) id: b78e817db7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:GAYASAKURA | 作成日時:2015年8月15日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。