l wish to be your only one …エピ４

ヒカル…４２ ページ45

｢…流石だな、短期間で、ココまで契約締結後の我社の経営動向を見極めるとは…｣

オレが用意した経営シュミレーションの資料に目を通し、クロフォード会長は大きく頷いてくれた

その笑顔にホッと肩の荷が降りる…

｢この資料の経済数値を出したのは、私ではなくこのギルバート＝オーウェンです、私は法律専門なので、ただギルバートから送られてきた資料を纏め上げただけです、これはギルバートの緻密な分析力があればこその資料です｣

そう言って隣に座ってるギルを見ると、なんだか困ったような顔をして、居心地悪そうな様子をしていた

｢そうか、ギルバートは法律と経営両方で博士の称号を持っていたな、コレは心強い｣

｢何かあれば、ぜひご相談くださればと思います｣



｢ギルバートのお母上は、たしかキミの会社のCEOの妹さんだったな、何度かお会いしたことがある、お元気なのかな？｣

その言葉に、ギルの瞳が大きく見開かれた

普段ほとんど表情に変化がないギルバートが、初めての感情を見せたコトに、オレは戸惑いすら覚えた

｢…どうでしょうか、大学を卒業してからほとんど会っていないので…｣

｢え、そうなのか？どうして｣

家族のコトにはほとんど触れないギルバート、

｢…べつに深い意味はありません｣

取り付くしまもなくそう返してくるギル｡また感情を胸に隠してしまった…


会長は、オレ達のぎこちない空気感を何となく楽しんでいるようだ

｢タイスケとギルバートが居れば、我社の存続と経営収支は安泰だな、よろしく頼む…契約については、また然るべき部署から連絡をさせよう、長く引き止めて申し訳なかった、パーティ会場に戻りなさい、楽しんでお帰り頂ければれば何よりだ｣


満足そうな微笑みを浮かべ、クロフォード会長はオレ達をドアまで送ってくれた

いきなりドアが開いた事で、待機していた数名の秘書が、慌ててオレ達を迎えに来た

｢ありがとうございます、では良いお返事をお待ちしております｣

2人で並んで挨拶をして、オレ達はパーティ会場に戻った


主催のクロフォード会長はまだ、様々な面会がまだ残ってるのか、パーティ会場には姿を表してはいなかった


｢ギル、オレもう役目は果たしたよな、なら帰るわ、家族待たしてるし…オマエもう少し残って、顔繋ぎしとけよ｣

｢え、1人ではムリです｣

ソッコーで、拒否権発動ですか？

｢ガキか…ったく、なら後30分だけ一緒にいてやるから｣


ギルの顔に、微かな笑顔が見えた

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