l wish to be your only one …エピ４

ヒカル…２６ ページ28

そっからは、特に何もすることが無くて…

スーツケースを片づけたり、洗濯物をしまったり…ヒカルのオムツ替えも何回かオレがやらせてもらって…頑張って《おっきぃ方！》もちゃんと替えてやるコト出来た！…息止めて手早くすんのがコツだなww

太輔はホントにヒカルが可愛いみたいで、ずっと飽きることなく、傍でなんやかや世話を焼いてる


ヒカルも太輔には特別に懐いてるみたいで、この分ならサラが帰るまで、どうにか大丈夫そうだった…


今は、ヒカルを抱っこしてバルコニーから外を眺めてる…時々、何か話しかけながら、ヒカルの可愛い小さなオデコにキスしたり、ほっぺを触ったりして…その度に小さなヒカルが愛くるしい笑顔を太輔に向けてる…


その二人をキッチンから見てるオレ…


目の前には大きなオレンジの夕陽…


ホントに微笑ましい…美しい一枚の絵のような光景…だけど、オレの胸には、チクリと痛みが走る…


オレには…太輔が望む《血の繋がり》は、残してやれない…


ソレはお互いにもうわかってることで、理解し合って、今…こうして家族になってる…

だけど、そのコトを改めて目の前で感じると、やりきれない想いが湧いてくるのもホントで…



振り返った太輔と、目が合う…


思ってることを見透かされたようで、思わず二人から目を逸らしてしまう…


「…ひろ、どした？」

戻ってきて、ヒカルを抱いたままオレの頬に手を添え、クイッと顎を上げられて視線を合わせてくる…


ダメだ、笑って見せなきゃ…
口角に力を入れ、上に上げる…

…太輔の表情が、フッと曇った

「…なんで泣いてんの？」
「…泣いてなんか…」

目許に触れた太輔の指先…

「…じゃ、この雫ナニ？…」

見せてくれた指先には、雫が付いてる…

太輔は、それをペロッと舐めると

「しょっぱいな…」
と言って、ヒカルごとオレを抱き締めた…


「…ヒカルは、サラだけの大切な家族…オレの家族はひろだけでいい…だから泣くな…オマエさえいてくれれば、何も要らない…望むものは無い…」

優しく背中を撫でながら、太輔はオレのオデコに唇で触れてきた…

「愛してる…」
「太輔…っ」

…その時…ヒカルの小さな小さな手がオレの頬にそっと触れてきた…一点の曇り無く澄んだ濃いブラウンの瞳が、心配そうにオレを見ているように思えた…

「…ひろ、ヒカルも泣かないでって、言ってる…」

「うん……うん、ヒカル、ゴメンな……」

小さな手を握り笑って見せると、ヒカルも笑ってくれた…

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