ボーイフレンド(借)ーレン・フレ ２

５２話 ページ4

…ひとまず無事ボランティア終了！ちょっと噛んだけど、宏光も、「まあ、愛嬌でいんじゃね」ってコトで問題なし！…でも、読み聞かせタイムUPと同時にママさんたちから「これ食べて！」って宏光と二人手作りっぽいお菓子めちゃめちゃもらって…苦笑いしかないんだけど…

でも、どれもこれも…ホントに素朴で暖かい、いかにもお母さんの作るお菓子って風で、いつも差し入れられる一流菓子店のスイーツより、オレには美味しそうに思えた…

メール…？渉か……はっ？嘘だろっ！

「宏光…ゴメン、ちょっとラブ・アゲでなんかあったみたい…悪いんだけど帰っていいか？」
「そうなのか？、かまわねーよ、すぐ行け！コッチはいいから」
「悪い！ゴメンな！」

それだけ言って、オレはラブ・アゲ事務所に戻った…



「おい渉っ！メールの件、ホントなのか？……っ、ハルカ…さん…？」

事務所に入ったオレの目の前に、渉と…ハルカがいた…驚くオレに、冷静な…この前とは違う、冷たい笑顔を浮かべてオレを射るような目で見つめてくる……は？ふざけんな、負けてたまるか…っ！

ほぼ睨み合う形のオレ達…渉が訝しげに見ていた…

「どういうコトだよ…この人がラブ・アゲに出向って…」

「筆頭株主様からのお達しだよ、この前のパーティ、かなり評判が良かったらしくて、ラブ・アゲにスポンサーが何社か付くようになった…本格的に、イベント企画メインのの広告代理店としてやっていくことになる…ついては、ハルカさんが株主企業から出向の形でオレたちのご指導に来てくださったと言うこと…」

「出向…？要らねーよ、んなの！ラブ・アゲはオレと渉の二人でやって来たんだ、今もこれからも、オレたちは誰の指図も受けねーよ！」
「…ラブ・アゲの筆頭株主はウチの会社だ…経営権も、もちろん持っている、君たちに拒否権はないよ」

口許に薄く笑みを浮かべて、ハルカはオレと渉…違う、オレだけを真っ直ぐに見てきた…その胸の内に秘めているものがなんなのか…オレには手に取るようにわかる…コイツ、ラブ・アゲなんかハナから相手にしてない…取り戻しに来たんだ…あの人を…


「とりあえず、明日からよろしく…」

差し出された手を、オレは一瞥して無視した…

「楽しみだな…渉くん、太輔くん、ラブ・アゲをいい会社にしような…」

そう言って、ハルカは裏のある…人懐こそうな笑顔を浮かべた…

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