ボーイフレンド(借)ーレン・フレ ２

６２話 ページ14

「フリーショットを頂きたいので、コチラで自由に撮らせていただきます…我々のコトは気になさらずに…」

そう言って、撮影クルー達はテキトーに散らばっていったようだった…メインはオレみたいだけど、カメラマンの人が宏光にも関心が行ったみたいで、「何枚か撮らせてもらいました」って言ってたみたいだった…

読み聞かせ…クルー達が一番後ろにカメラをセッティングして撮ってくる…ハルカもソコにいた…宏光が絵本を読んでる間、いつも厳しいハルカの表情がフッと緩んで、愛しそうな目で宏光を見つめていた…宏光に、その想いが伝わっているんだろうか…真横からソレを見てるオレは、なんと言うか…気が気じゃなかった…

救いは、宏光の目が絵本と子ども達にしか向いていないコト…オレの好きな宏光の柔らかい表情…子どもたち以外にオレだけが知ってるカオ…なのに…

「太輔…次オマエの番！」
「…え？あ…」
…いつの間にか宏光は終わってて…

「たいしゅけ、がんばえー」
「たいしゅけ、どしたの？」

子ども達に心配？されながらオレは、みんなの前に立った…ハルカは…いない…帰ったのか…

なんかホッとした…

次はオレだけのインタビューらしい…くだらね…ハルカには、くれぐれもマイナスイメージを出すなと言われていて…様々な質問に模範解答で答えた…まじ、ウソばっかのオレ…

「ボランティアを紹介された北山宏光さんとは、どういうご関係ですか？」

…どういう？…現在進行形の初恋の相手です…なんて言えるわけもなく…でも、オレの想いの１０分の１でもいいから…宏光に伝えたくて…

「…僕に…大切なことを教えてくれた、大事な…人です…ずっと…一緒にいたいって思う…ただ一人の人です…」
宏光の顔を思い浮かべながら、そう答えた…

「そうなんですか、とてもステキなご関係ですね！」
インタビューの人のよくわからない返しに、微妙に笑ってその日の取材は終わった…


「…宏光…どこ行ったんだろ…」

館内に姿はなくて、中庭に目をやったオレに、ハルカと一緒にいる宏光の姿が飛び込んできた…バクッと心臓が鳴った…


「アイツ…っ、帰ったんじゃなかったのかよ…っっ！…ふざけんなっ…」

館内を飛び出て、中庭に抜けるドアから宏光を連れ戻しに歩いていった

目の前の二人…ハルカの手が、宏光の肩に置かれている…

「触んな…っ！」

オレは宏光の腕を引っ張り、自分の背中側に隠すようにして、ハルカと宏光の間に割り入った…

６３話→←６１話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す