Innocent … 君想う日々２

守るべき人 … ５６ ページ9

「結永、ケーキ美味いだろ？」
「うん！ボク、バナナ大好きーー」

一口食べる事の《ご満悦＆至福》の顔は、赤ん坊の頃と変わらない、まるで雛鳥みたいにちっちゃな口開けて、スプーンが口許に来るのを待ってたよなぁ…

ダイニングには、皆川さん、ニカ、結永、オレの四人、

「結永様のお召しなら…」

甘いものが余り得意でない皆川さんには、ブラックコーヒーと薄めに切ったケーキ、太輔の分を取り分け、残りを3人で分けた

「かーさん、皆んなで食べるとおいしいね！」
頬袋をぷくりとさせて、結永がりんごジュースを飲んだ

「そだな、」
「結永、一人で仲直り言ったんだってな、カッケー」
「…かっけー？かっけーってなあに？」
「ん？カッコイイってこと！」
「そうなの？じゃあ、彬人くんのお父さん、かっけーお父さんだったよ」

ニカと結永のやり取りに、皆川さんが顰めっ面になる

「コラっ二階堂！結永様に悪い言葉を教えるんじゃない！何度も言わせるな、結永様が幼稚園で他のお子さんに笑われるだろ！全くお前はホントに…」
「はーい、すみませーん…」

皆川さんに窘められた二階堂が、ちょっと肩を竦めオレをチラ見してペロッと舌を出した、

結永が幼稚園に行きだしてからよく耳にする様になったやり取り、まぁ結永もその辺は心得たもので、特に太輔もオレも心配はしていない

「もぉケンカはダメー、なかよく！」
「これは失礼しました、結永様」
「ゴメンな結永」

結永の一言で、二人も苦笑い…、これもいつものパターン、ニコニコ笑いながら結永が最後の一切れを頬張った

「かーさん、とーさんもケーキ美味しいって言うよね！」
「言うと思うよ、置いといてやろうな」
「とーさん、早く帰ってこないかなぁ…」

その時、オレのケータイが鳴った
画面に出た名前に、ついほくそ笑んでしまう

「…はい、、うん…帰ってきてる、ん？今おやつタイムだ…、え、そうなの？…はいはい…分かった、…うん…代わるわ…」
そしてオレはスピーカーにしてケータイを結永に渡した

「結永、とーさん」
「とーさん？」
パッと目を輝かせ、小さな手で大きなケータイを持ち耳に当てた

「結永、よく頑張ったな、ちゃんと《ゴメンなさい》言えたんだってな、偉いぞ」
「うん、とーさん！あのね、ボク一人で彬人くんのお家に行ったよ、彬人くんのお父さんがね、おウチに入れてくれた、それでね、ボクあきとくんと友達になった！」

「そうか、友達になれたのか、頑張ったな」

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