Innocent … 君想う日々２

守るべき人 … ５５ ページ8

「一人で怖くなかったか？」
「へーきだよぉ！、あのね皆川さんがね、《勇気の出る魔法のアメ》くれたよ、だから勇気のモリモリ！」

ニコニコ笑いながら、運転席から出てきた皆川さんに顔を向けた、皆川さんもいつもより笑顔多めだ

「魔法が効いて良うございました」
「そうか！勇気モリモリになれたのか、皆川さん、結永のコトありがとうございます」

皆川さんは、オレ達とは違う立ち位置で結永が生まれた時から成長を見守ってくれてる、結永への愛情が本物だからこそ、太輔も安心して皆川さんに結永を任せたんだと思えた

「結永様は良く頑張られました、やはり太輔様と宏光さんのお子様です、大変ご立派でした」
「ありがとうございます、なら良かったです」
「沢山褒めて差し上げて下さい、…では私は車を戻して参ります」

そして運転席に戻ると、ガレージに車を動かした

「あ、結永！おやつあるよ」
「おやつ！？なあに？」
「結永の好きなバナナのケーキ！ニカとかーさんで作っといた、食べような」
「バナナのケーキ！ヤッター食べるー」
「よーし、んじゃリビング行こ」
「ねーかーさんも一緒！皆川さんとニカも一緒！」
「そうだな、皆んなで食べような」
「かーさん、とーさんのも置いといてね、とーさんケーキ好きでしょ？」
「もちろーん、じゃないととーさん直ぐ拗ねるからなぁ」
そう言うと、結永がケタケタ笑った

《えっオレの無いの？どして？なんで？ひどっ！》って、うるせぇのなんの笑笑

ホント、手が掛かるんだよなぁ…て、忍び笑いが漏れる

抱っこしたまま家に行こうとすると、「かーさん、ボク赤ちゃんじゃないから自分で歩けるよ！」と言ってきた

「うーん、…そうだけど、今日は抱っこさせてくれ！頼む！」
「えー、じゃあいいよ抱っこしてて」
「ｸｽ…サンキュ！」

ちょっとだけお兄ちゃんぶる言い方は、何だか太輔に似てる…、そしてオレは結永の重みを両腕に感じながら、まだこうしてオレの全部で包んでやれる喜びと幸せを感じていた

あと何年…結永は、こうしてオレと太輔だけの《小さな結永》でいてくれるんだろう

多分…子どもでいてくれる時間は、思うよりも短い…

いつかは、太輔とオレの元から巣立っていく結永…

その時が来たら、ちゃんとこの手を離すから…今だけはまだ…もう少しとーさんかーさんと結永の時間を守らせてくれ

「かーさん！」
「ん？」
「だーいすき！」


ふと、喉の奥が熱くなる…

「…結永、生まれてきてくれて、ありがとな…」

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