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『お風呂ありがとう』
「全然気にせんでええよw」
笑いながら振り返った志麻は、私を視界に入れたと思いきや直ぐに目を逸らしてしまった。
私の今の格好は、志麻の少し大きいパーカーとジャージのズボン。所謂彼シャツでの萌え袖。
「…誘っとるん?」
志麻の声が、静かな部屋の中で低く響いた。
窓も全て閉じきった部屋の中には、外の音が一切入ってこない。
私と彼の間に流れた沈黙に、息が詰まる思いで、私は何も発せず黙り込む。
「…なーんてな♪期待しちゃった?」
静寂を破ったのは、志麻の揶揄い声だった。彼はそのままケラケラ笑いながら、意味もなく私の肩に羽織りを掛けてくる。
「最初にも言ったけど、流石に本人の了承なしに手は出せんやろ。…まぁ、両者の了承の上だとしてもアカンけどなw」
『……』
「俺風呂入る。眠かったら先に寝とって。」
そのまま風呂場に向かってしまった彼の後ろ姿を、じっと見つめる。
正直なところ、このまま発展するのかと思っていた。それを望んでいた。…けど、心のどこかで止めてほしいとも思っていた。
志麻は手を出してくるのか、出さないのか、試していたのかもしれない。
『……』
私は彼のベッドの上に寝転ぶと、壁の端に寄って彼の寝るスペースを作ってから、静かに目を閉じた。
−−−−−
お風呂を上がって第一に目に入ったのは、彼女の寝顔。
本人は否定しているが、普通に整った顔立ちにサラサラな髪の毛。ぷっくらとした赤い唇は小さく開いていて、そこから微かに寝息が漏れている。
「…無防備すぎやろ。」
自分の理性を必死に押さえながら、俺はそっと彼女に自分の顔を近づける。
…少しくらいなら、ええやろ?
チュッ
「…おやすみ。」
俺は部屋の電気を暗くしてから、そっと静かにドアを閉めて、配信をしようと防音室に向かった。
−−−−−
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ハクト(プロフ) - Naoさん» 私も書きながら思いました…特に冷たい笑顔で言われると特に鋭く突き刺さりそうです笑応援ありがとうございます!続編でもよろしくお願いします! (2020年7月1日 22時) (レス) id: 2aaa8e08bf (このIDを非表示/違反報告)
Nao(プロフ) - センラさんに悪女って言われると、直接言われてないけどグサッと来ますね。笑続編待ってます!頑張ってください! (2020年7月1日 21時) (レス) id: b92cb2f456 (このIDを非表示/違反報告)
ハクト(プロフ) - Naoさん» 応援ありがとうございます!とても心強いです(*^^*)毎日更新していく予定なので、今後も楽しみにして頂けると嬉しいです! (2020年6月30日 20時) (レス) id: 2aaa8e08bf (このIDを非表示/違反報告)
Nao(プロフ) - こういうドロドロしてるやつ好きなんですよ…更新される度にハラハラドキドキして面白いです!更新待ってます!頑張ってください! (2020年6月29日 21時) (レス) id: b92cb2f456 (このIDを非表示/違反報告)
ハクト(プロフ) - 翡翠琥珀さん» コメントありがとうございます!読者の皆様に楽しんで頂けるよう、今後も精進してまいりますので、最後までお付き合い頂けると幸いです(*^^*) (2020年6月29日 20時) (レス) id: 2aaa8e08bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハクト | 作成日時:2020年6月19日 17時