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誰かに、肩を揺さぶられている。
心地の良い体の揺れに、思わず二度寝しそうになる。


「A、もう12時やで!」

『……は?』


驚いてパチッと目を開けた私の近くには、私の肩を揺さぶる志麻と、その隣でスマホを弄る坂田さん。


「あ、起きた」

『え?12時?』

「めっちゃぐっすり寝てたなぁw」

『うっ…』


ここ二日間で、寝坊が続いてしまっている。
駄目だ、ちゃんと気を引き締めなければ。


「体調は?もう大丈夫そう?」

『はい!坂田さん、本当にありがとうございました!』

「いーえ!ほなまーしぃ、あとは頼むで。」


坂田さんは志麻にひらりと手を振ると、荷物を持ってさっさと出て行ってしまった。ガチャッとドアが閉まる音がし、部屋の中には志麻と私の二人きりになる。


「…A、」


ふと名前を呼ばれ、顔を上げる。そこには、真剣な顔をした志麻の姿。ごくりと喉を鳴らして、私は真っ直ぐ彼を見返した。


「…うらたさんと、何があったん?」

『……』

「好きなだけここに居ってもいいし、好きなように過ごして貰って構わない。けど、事情くらい話してや。…詳しくなくてもいいから。」


感情を荒らげず、静かに私を見据える志麻。そんな志麻の様子に、私もぽつりと言葉を零した。


『美玲と渉が、…キス、してた。』

「…うん。」

『私の目の前で、堂々と。美玲は勿論、渉が美玲を拒まなくて、ショックで家を飛び出しちゃった。』

「それで、走って俺の家に来たん?」

『…うん。』

「そっか。」


自分で言葉にすると、二人がキスをしていた情景がまるで目の前でもう一度行われている気分になる。
思わず俯いた私を、志麻は正面から手を伸ばして抱き寄せた。


「なんで、俺のところに来たのか聞いてもいい?」

『……』


彼の男らしい腕に抱き締められながら、耳元で志麻がそう尋ねる。熱い吐息がかかり、思わず私は頷いた。


『…志麻が、』


言葉が、続かない。
言おうか言わないか迷って、頭をぐるぐる駆け巡る。



『志麻が、好きだから。』


あぁ、言っちゃった。

開けてはいけないパンドラの箱を空けたら最後。もくもく溢れ出る煙に包まれて、ストッパーを抜き取られる。

目の前の彼から、ますます逃れられなくなる。



「…そっか。」



彼から返ってきた返事は、その一言のみだった。





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ハクト(プロフ) - Naoさん» 私も書きながら思いました…特に冷たい笑顔で言われると特に鋭く突き刺さりそうです笑応援ありがとうございます!続編でもよろしくお願いします! (2020年7月1日 22時) (レス) id: 2aaa8e08bf (このIDを非表示/違反報告)
Nao(プロフ) - センラさんに悪女って言われると、直接言われてないけどグサッと来ますね。笑続編待ってます!頑張ってください! (2020年7月1日 21時) (レス) id: b92cb2f456 (このIDを非表示/違反報告)
ハクト(プロフ) - Naoさん» 応援ありがとうございます!とても心強いです(*^^*)毎日更新していく予定なので、今後も楽しみにして頂けると嬉しいです! (2020年6月30日 20時) (レス) id: 2aaa8e08bf (このIDを非表示/違反報告)
Nao(プロフ) - こういうドロドロしてるやつ好きなんですよ…更新される度にハラハラドキドキして面白いです!更新待ってます!頑張ってください! (2020年6月29日 21時) (レス) id: b92cb2f456 (このIDを非表示/違反報告)
ハクト(プロフ) - 翡翠琥珀さん» コメントありがとうございます!読者の皆様に楽しんで頂けるよう、今後も精進してまいりますので、最後までお付き合い頂けると幸いです(*^^*) (2020年6月29日 20時) (レス) id: 2aaa8e08bf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハクト | 作成日時:2020年6月19日 17時

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