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突然の私からのキスに、渉は目を見開く。


「ちょ、A!」


慌てたように私の肩に手を置く渉の顔を、斜め下から上目遣いで見つめる。


『…ごめ、』


今日は我慢できそうにないや。

私の様子を悟ったのか、渉は黙って私を抱えてベッドの上に寝かせた。その上から、渉が私を跨ぐように上に乗っかる。


「手加減できない、かも。」


小さく言い聞かせるように呟いてから、渉は顔を私の首筋に近づけて勢いよく吸う。

綺麗に紅く咲いた花に、彼は薄く笑った。


「俺たち、何やってるんだろ笑」


行為中にこんなことを言うなんて、初めてだ。

それでも彼は私を離してはくれず、唇を私の全身に這わせた。時折洩れる彼の吐息に、自然と私も理性を失っていく。


気付くとお互いに果てていて、そのまま誘われるように眠りに就いていた。




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「おはよ、A」


薄ら目が覚めてボーッとしていた私の真横から、渉の優しい低い声が突然耳元で響き、ビクリと体を震わせた。


『お、はよ…』

「今日はお互い一日中フリーだろ?だからさ、



デートしない?」


最初言葉の意味を飲み込めず、暫し固まる。


デート?

…デート?


『っ勿論!』

「食いつき方がすごいなw」


喉の奥でツクツクと笑う渉に、未だお互い服を着ていない彼の胸版を軽く叩く。
ドクドクと彼の心臓音が直接手に伝わり、少し顔が赤く染まった。

だがそんな私を優しい目で見つめながら話を続ける渉は、ふと思いついたように口を開いた。


「デートプランさ、俺が決めてもいい?」

『?いいよ』

「さんきゅ」


私の頭を撫でてお礼を述べる渉。

そんな言動や行動にも愛は含まれていないのに、それを考えてしまうと虚しさが全身にのし掛かってきた。


ある意味、これも愛なのかもしれない。

男女間に存在する愛ではなく、優しさからの愛。


つまり、同情。


『っ…朝ご飯作ってくるね!』

「あ、待って」


虚しさを隠すように立ち上がりかけた私の腕を引っ張り、渉はそのまま私のおでこにキスをした。


「ふふ、びっくりした?」


揶揄うように私に視線を送ってきた渉に、耐えきれずに照れ隠しのフリをして私はそのまま逃げるように寝室を出て行った。





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ハクト(プロフ) - Naoさん» 私も書きながら思いました…特に冷たい笑顔で言われると特に鋭く突き刺さりそうです笑応援ありがとうございます!続編でもよろしくお願いします! (2020年7月1日 22時) (レス) id: 2aaa8e08bf (このIDを非表示/違反報告)
Nao(プロフ) - センラさんに悪女って言われると、直接言われてないけどグサッと来ますね。笑続編待ってます!頑張ってください! (2020年7月1日 21時) (レス) id: b92cb2f456 (このIDを非表示/違反報告)
ハクト(プロフ) - Naoさん» 応援ありがとうございます!とても心強いです(*^^*)毎日更新していく予定なので、今後も楽しみにして頂けると嬉しいです! (2020年6月30日 20時) (レス) id: 2aaa8e08bf (このIDを非表示/違反報告)
Nao(プロフ) - こういうドロドロしてるやつ好きなんですよ…更新される度にハラハラドキドキして面白いです!更新待ってます!頑張ってください! (2020年6月29日 21時) (レス) id: b92cb2f456 (このIDを非表示/違反報告)
ハクト(プロフ) - 翡翠琥珀さん» コメントありがとうございます!読者の皆様に楽しんで頂けるよう、今後も精進してまいりますので、最後までお付き合い頂けると幸いです(*^^*) (2020年6月29日 20時) (レス) id: 2aaa8e08bf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハクト | 作成日時:2020年6月19日 17時

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