【Ran】カルラブ

・ま る さ ん と 私 ページ46

黒崎さんが頭を掻きながらねこに近づく。

「あれって…。」

白い毛並みが特徴的なあの猫は…

「…まるさん？」

私の声に反応したかのように、まるさんはトテトテと部屋を走った。

「おい！」

やがてキッチンの方に入り込もうとした時だった。


「あ、危ないよ！
あっちで遊ぼう？」

「おい、こっちこい！」

私の足元で動く様子のないまるさん。

もしかして、餌待ち…？

でもでも！火扱ってて危ないし！


そんなことを考えていると、まるさんは調理台に上がってこようとする。


「「まるさん/A ！！！」」


2人の声が重なると、部屋がシーンと静まり返る。

「え、と。私のこと、呼びました…か？」

「は、はぁ！？何言ってんだよ！
んなわけねぇだろ！
お前こそ、まるさんってなんだよ！」

「ま、まるさんはまるさんです！
この子のお名前で、その…！」

「…クソっ！！
おら、行くぞ！」

「み¨に¨ゃあ¨ぁぁ」

苦しそうな声を上げながら、黒崎さんに摘まれたまるさんは消えていった。



「あ〜あ。ランラン、とうとう言っちゃったね。」

「…言っちゃった？」

「そー。あの猫ちゃんが来るたびに、小声でAちゃんの名前呟いてんの。
ね、ミューちゃん。」

「あぁ。ブツブツ何かを話しかけていると思ったらお前の名前が聞こえた。」

「僕も聞いたよ。あの猫のこと、随分可愛がってるみたいだけど。」

「…。」

沸騰したお湯がゴポゴポと音を立てた。
きっと私も、お水が一瞬で沸騰するくらい熱い。

ドキドキして、何も考えられない。


「んで、Aちゃんの『まるさん』の由来は？」

「え」

「誰かが由来になってるんでしょ？
誰かな〜。」

「れっ！嶺二さん！やめてください！」

「レイジ分かんないの？
ランマルが由来してるに決まっ「わぁぁあぁぁ！！！」

そう言葉に出されると尚更恥ずかしくなる！！

「ご、ごめんなさい！
パスタ！！！茹でといてください！！！」

この恥ずかしさから逃れたくて、思わずキッチンから走り出す。

ベランダに出てしゃがみこむと、冷たい空気が頭を冷やしてく。

た、確かに、黒崎さんの名前を少し借りたのは事実だけど…

それはあの猫が黒崎さんに似ていたからで…
特に思いなんかは…


「A」

「きゃぁぁあ！！？」

「は！？」

頭上からした黒崎さんの声にビックリして、自分でも驚くくらいの距離を転がっていく。

「く、くろ、黒崎さん…！」

「お前…何やってんだよ…。」

・甘 い キ ス を …→←・

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