【Ran】カルラブ

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次の日、みんなが完全にお仕事に出かけた時間。

取り敢えず作曲に必要なもの！

それから、お洗濯もしといて…
あとは、ご飯の買い出しかな？

後で嶺二さんに連絡しておけば、適当な物を用意してくれるだろう。


「にゃ〜」

「ん？」

窓をカリカリと引っ掻く音と、猫の鳴き声。

「ごめんね、黒崎さんいないんだ。」

白ベースに斑の猫持ち上げると、ツンとそっぽを向いてしまった。

「あ！どうして目そらすの？」

「…。」

猫は返事もせずに、私の手を蹴りソファに上がった。

「だ、ダメだよ！
カミュさんが怒っちゃう！」

私がそばに行くと、またツン、とそっぽを向いてしまった。

その光景はまさに、音也くんと黒崎さんの最初の打ち合わせの時のようだった。

何度もせがむ音也くんに、確かに黒崎さんはこんな対応をしていた。

「ふふっ笑
黒崎さんと一緒だ。」

綺麗な毛並みにそっと触ると、今度は凛とした綺麗な瞳をこちらにじぃ、っと向けていた。

「不思議だね。ノラじゃないみたいに綺麗だし…会ったことある気がする。」

「にゃ〜」

そう短く返事をすると、黒崎さんがいつも餌を隠している棚に歩いていく猫。

「ダメだよ。黒崎さんに許可取らないと。」

「じゃあとれよ！」とでも言わんばかりの顔で猫はこちらを睨んでいた。

「も〜…。なんか、黒崎さんに本当そっくり。
そーだ！名前。
…んと、まるさん…でどうかな？」

「う¨〜〜」

「嫌なの？そんなところも尚更似てるね。」

名前はもちろん、黒崎さんから捩った。

こっそり袋をあけて、一掴み餌を分け与える。

黙々とご飯を食べる姿も、また黒崎さんに重なった。

「ダメダメ…お洗濯しなきゃ。」

パタパタと洗面所に行くと、みんなが朝出したであろう洗濯物が山積みになっていた。

一番上には黒崎さんご愛用のTシャツ。

「…。」

唇をギュッと噛みしめる。


会いたい


会いたい、会いたい。


会ってもう一度、いろんなお話がしたい。
またあの笑顔が見たい。
優しい声が聞きたい。
暖かい手で撫でられたい。


会いたいとそう思うほどに、自分がどれだけ彼に見合っていない存在かが浮き彫り立つようで。

バタン！と大きな音を立てて洗濯機を閉じた。

「…帰ろ。」

自分の部屋に行き、ノートやパソコンを持つ。

「まるさん、ごめんね。
私もう行くからお外出よう？」

「みゃ〜」

まるさんはまるで餌をくれたお礼でも言うように私の足を舐めた。

「…またおいで。」

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