・夢 を 追 う 彼 ページ35
俯く私に嶺二さんは優しく声をかける。
「彼女、本気だよ。
ランランとバンド組んで、一緒に弾きたいんだって。」
「嶺二さんは、知ってて連れてきたんですか?」
「ん〜…、まぁ、直接会わせて欲しいってお願いされたの僕だしね?」
悪戯っ子のように笑う嶺二さん。
小野瀬さんが黒崎さんを誘った時に見せたあの驚いた表情は演技だったのかと思うと、心底凄い人だと思う。
「期限は近づいてきてるよ?
ランランも君の言葉を待ってる。」
「え…?」
「…君に背中を押してもらえるのを、ずっと待ってるんだよ。」
「なんで…」
「きっと、僕たちのどんな言葉よりも、君の言葉だけを信じてるってそう思うよ。」
なんで…
私は黒崎さんの背中を押せるような大きい人じゃない。
自分の欲にまみれて、自分の都合で行かせたくなくて、こんなにも意地汚く醜いのに。
今の私が背中を押すなんて、失礼だよ。
「で、でも…。」
「Aちゃんも、プロなら分かるでしょ?
どうするべきなのか。」
その揺らぐことのない瞳を見ても、私が背中を押すべきか、引き止めるべきかなんて答えは見えるはずもなかった。
嶺二さんは、どう思ってるの?
トキヤくんは止めるべきって言った。
今追うべき夢があるんじゃないかって。
でも、嶺二さんはそう思ってない。
黒崎さんが戻ってくるって、確信してるから。
黒崎さんを信じてるから…。
.
.
「黒崎、さん。」
ぎこちなく声をかけた私とは対照的に、黒崎さんは「あ?」といつも通りの返事をした。
「バンドのお返事、まだされてないんですよね?」
「…。」
今度は何も言わない黒崎さん。
やっぱり悩んでるんだ。
「…早く行かないと、練習間に合わなくなっちゃうんじゃないですか?」
「は…?」
「あのバンドは、今の黒崎さんを必要としてるんです。
あの方たちなら、黒崎さんときっと、いい音楽が作れます。」
「…本当に、そう思ってんのか?」
「もちろんです。黒崎さんなら、大丈夫です。」
苦しそうな顔をした黒崎さんはいつのまにか私の目の前に立っていた。
「目見て言えよ。」
「…く、黒崎さんなら…大丈夫…です。」
気づけば溢れ出した涙で視界がぼやぼやしていた。
なんで私、泣いてるの…?
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ぴかんち(プロフ) - aiaiさん» わ〜!!ありがとうございます!! ユーザー名違うんですけど、翔ちゃんのアイコンなので、よろしくおねがいします!!! (2018年5月11日 22時) (レス) id: 1c983642ca (このIDを非表示/違反報告)
aiai(プロフ) - ぴかんちさん» ほんとですか!!私の載せとくので良ければフォローください!@aiai_Seiyuで見つかると思うんで…そうですね!頑張ります! (2018年5月6日 22時) (レス) id: cf55e6d6ff (このIDを非表示/違反報告)
ぴかんち(プロフ) - aiaiさん» 社会人だと平日に余裕でイベント参戦出来るのでほんっと強みです笑 ライブは土日多いので戦争ですけど… Twitter!やってます!! (2018年5月6日 19時) (レス) id: 1c983642ca (このIDを非表示/違反報告)
aiai(プロフ) - ぴかんちさん» そうですね〜!わかります(;_;)ぴかんちさんTwitterとかやられてるんですか??私も来年社会人デビューです!ぜひイベントで会いたいです! (2018年5月2日 21時) (レス) id: cf55e6d6ff (このIDを非表示/違反報告)
ぴかんち(プロフ) - aiaiさん» 社会人、正直しんどいです!笑 行く時間も帰る時間も学生と全く違うので… わー!イベント基本ぼっち参戦なので、会えたら嬉しいです…(T ^ T) ただ当たったら当たったで物販かほんとに心配ですよね、ペンライト無しの参戦だったら悲しすぎる… (2018年5月1日 20時) (レス) id: 1c983642ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴかんち | 作成日時:2017年11月30日 1時