71.悪魔の囁き ページ21
「そのために……あの影山についてもいいのか！？影山が何をやったか覚えているだろう！？源田、俺たちと一緒に来い！なあ、佐久間もいっ……」
パンッ！
佐久間は差し伸べられた鬼道の手を払った。
二人の目は、雷門と試合をする前の帝国でも見たことがない冷たい目になっていた。
「……あのとき、俺たちが病院のベッドの上でどれほど悔しい思いをしたか、お前にはわからないさ」
その日はちょうどフットボールフロンティアの決勝が近づき、Aも忙しくて見舞いに来れない日だった。
世宇子中に負けた時の悔しさは、テレビ越しに世宇子中の試合を見る度に募っていく。
また雷門の試合を見ている時も、自分たちに親しくしてくれる空色の少女の活躍を喜ばしく思うと同時に焦りを感じていた。
そんな時だ。
『ざまぁないねぇ』
『『ッ！？』』
病室にあの不動明王がやってきたのは。
『誰だ！？』
『誰だっていいじゃん』
窓から入ってきた不動はからかうような口調で二人の怒りを焚き付けた。
そして二人の怒りが臨界点を突破しそうになった時、
『そうだよ！怒れ！もっと怒るんだ！怒れよ！お前らズタボロにやられたんだぜ。悔しいだろ？その悔しさを胸に刻め！ 血が逆流するほどに！そうすれば、お前らは強くなる！』
その言葉に二人は揺らいだ。
得体の知れない目の前の相手の言葉に、惑わされてはいけないと理解しながらも耳を傾けてしまう。
不動は源田の手を自分の左胸に当てた。
『感じるか？俺の鼓動……俺の熱い血の叫びを！強くなりたい……。もっと…もっと…もっと！お前たちの胸にも、同じ血が流れてるはずだ！もっと強く、この世の誰よりも強くなりたいと思っている！』
まるで悪魔の囁きだった。
不動の胸元から溢れる紫の光に、二人の中の何かが毒のように侵されていく。
『あの鬼道よりも……強くなるためならなんでもする……悪魔に魂を売ってもいい……だろう？だろう！？そしたら……、』
不動はつけっぱなしのテレビを指さした。
そこに映っていたのは……二人の友人であり、二人が想いを寄せる空色の少女。
『この女にも追いつける！肩を並べられるんだぜ？』
その言葉をとどめに、二人は悪魔の差し伸べる手を掴んでしまった。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
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女アスパラ - すごく面白いです‼‼‼‼つずきまってます (10月22日 20時) (
レス) id: 31d4d35068 (このIDを非表示/違反報告)
麗乃(プロフ) - 面白くて続きが気になります。更新待ってます‼ (2022年4月10日 13時) (レス) id: f8afe95a72 (このIDを非表示/違反報告)
杏(プロフ) - とても面白かったです！更新待ってます！ (2020年11月22日 16時) (レス) id: eec8bbc77e (このIDを非表示/違反報告)
仁王彩香 - 妖怪ウォッチの作品共々更新再開お願いします｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡ (2020年7月19日 0時) (レス) id: a3e64590b0 (このIDを非表示/違反報告)
仁王彩香 - 此方の作品も更新お願いします。 (2020年5月3日 3時) (レス) id: 9f5e24e49c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：AZUSA | 作成日時：2017年12月4日 23時
