【銀魂】鬼と鬼神【土方十四郎】

二十八 ページ30

土方side


土方「ｯｰｰ終わったぁぁぁ！！！」



よっしゃ終わった！



時計の針は６時ちょい過ぎを指している

６時を地味に過ぎたな……



土方「A、悪ぃ。遅くなった」


A「…………」


土方「………A？」



……妙だ



Aが反応しない


返事をするどころか、微動だにもしない



いまだAの手の上灯りをともし続ける火の玉だけが、ちろちろと揺らめく




まさか、火の玉使い過ぎて傷口開いちまったか！？


土方「おい、どっか痛むのか？傷口開いちまったのか？悪ぃ。いくら鬼でも流石にきつかったよな」



しかし、見てやるから来い、と言っても、Aは動かない


不審に思って、手を伸ばした瞬間だった




ｸﾞﾗｯ




土方「っA！？おいｯ」



Aの体が、俺と逆の方向に傾いた


なんとか抱き止めたが、Aはぐったりとしたまま動かない



慌てて、傷口を見たり熱がねぇか確認したり、そもそも死んでねぇか確かめたりしたが、いたって通常だ





つまり……………







土方「死んだように眠るって、こういうことだったか？」




寝てんのか







土方「ｯ���怖ぇんだよ！心配すんだろ！？
テメェ、目が包帯で隠れて寝てるとか分からねぇんだよ！！！」



思わず叫んだが、Aは起きない



コイツどんだけ眠り深いんだ




眠くないつってただろ！





俺の胸にもたれかけさせているAに、心の中で愚痴る




土方「…………それにしても…」



俺は、しげしげとAを眺めた





病的なまでに白い肌




それによく映える、真っ赤で小さな唇




新月の闇夜のような黒髪




俺が腕で拘束し、少し力を込めでもしたら粉砕しそうな華奢な体





こんな体の何処から、あんなバケモンみてぇな戦闘力が出てくんだよ






＿＿＿＿＿私が強ければ、





＿＿＿＿＿強くなりたくて笑わないって決めた







土方「…………もういいだろ？強くならなくて」




コイツは、さっきの倒れる時、俺とは逆の方向に倒れようとした



Aのことだ、人間に頼りたくないとか、家訓にあるから、とか言うんだろうな





………でもな？







土方「……………俺を頼れよ」





俺も眠くなってきた





書類とにらめっこはきついんだよ




そうにしても、俺が自分で思ってる以上に疲れてるみてぇだな





………寝るか





Aをもたれさせたまま、壁に背をついた




だんだん、意識が眠気に堕ちていく







Aに、抱き締めるかのように腕を回していた頃には、既に意識は無かった

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