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「来てくれたんだね」
心配したよ、と男が言う。
そりゃ来るだろう、兄たちが居るんだから。
懐かしい路地裏、薄暗さや鬱々とした雰囲気はそのままで、ただ違うところといえば兄たちが縛られて座らされていることか。
いちにぃとじろに、、あれ、さぶにぃは、?
「ああ、三男くんをお探しかな?随可愛がられてたみたいだもんねぇ。どこにいると思う?」
にやにやと気味の悪い笑顔を浮かべた男の足元に何かが動いている、
蹲って、震えている影はなんだ、
見覚えのあるさらさらとした髪で、
僕に似た顔で、
はだけた肩は白くて上下に激しく動いていて、
流れ続けている涙は投げ出された足の上で跳ねては地面に染みている。
『、、?さ、ぶ、、に、?』
「君と違って抵抗する力が強くてね、大丈夫安心して。まだ一線は越えてないよ。少しいたずらはしたけど、、ねぇ、一つ提案があるんだ。」
『な、に、』
「今から言う提案を蹴れば君は助かる。でも三郎くんは、昔の君になるんだ。それを踏まえてしっかり聞いてね。」
何を言っているんだろう。
分からない、頭に入らない。
初めてここで無理矢理された僕のように焦点が合わない様子で泣いて震え続けるさぶにぃの姿が思考を止める。
僕のせいか、
ああ、僕のせいだ。
あの時みた夢はどんなだったろう。
恨めしそうな目で、真っ暗な瞳で、涙を流して歯を食いしばってこちらを見ていた"あれ"は。
あの裏切りは、あの罪悪感は。
日が昇ると共に忘れようとしたあの蟠りは、気のせいではなかった。
今日という日へ向けた何かだったのだろう。
知っていたさ。
ああ、勿論。
僕は山田家の四男。あの兄たちの弟だ。
同じ血の流れるこの身体は同じくらい、
熱く、勇ましく、
仲間を、家族を
守れるはずなのだ。
『早く言ってみろ、』
さあ、僕に出来ることはなんだ。
兄たちに尽くして見せよう。
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リエル(プロフ) - ううううううううう…終わってしまった… (2019年4月3日 23時) (レス) id: 4f0744403a (このIDを非表示/違反報告)
春斗(プロフ) - わあああ独歩とのおまけ有難う御座います好きですぅぅ…………兄弟もとい家族愛的な関係とてもよきですた……何かあった時に一郎達とは別に頼れるお兄さんで優しく見守っててくれる感じがとても微笑ましいというかもう尊い……有難う御座いました(*´ω`*) (2019年3月27日 2時) (レス) id: 8cfab7cc4c (このIDを非表示/違反報告)
黒猫(プロフ) - 既に投票済みです……だと……?! (2019年3月1日 16時) (レス) id: 77336b66d1 (このIDを非表示/違反報告)
春斗(プロフ) - それと、もし宜しければ独歩とのおまけもあの…是非……!!!!!!! (2019年3月1日 2時) (レス) id: 8cfab7cc4c (このIDを非表示/違反報告)
春斗(プロフ) - コメント失礼致します。ドシリアスな中にちょいちょい挟まれるギャグがとても良い味を出してて、あの、全体的に好きです。(語彙力)取り敢えず四男君をずっとあれしてた男はウサポリ公にガチでしょっぴかれてたら良いなって思いました。 (2019年3月1日 2時) (レス) id: 8cfab7cc4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:須臾 | 作成日時:2018年12月5日 22時