・Lie...42 ページ42
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ズキズキと痛む胸を抑え、記憶と共に怒りで震える手。
「何トロトロしてるの、今から行くわよ」
グッと私の腕を掴んできた。
「……ら…いで」
「何?はっきり言いなさいよ」
「…っ触らないで‼」
「…は?」
力ずくで、掴まれた腕を解く。
「その汚い手で触れるなっ」
「なによ、あなたの方が汚いわよ」
…そりゃそうだ、
「汚い人間から生まれてきた汚い人間だからね」
そう言うと母は目の色を変え、ほんの一瞬の間とともに怒りのこもった声を上げる。
「っさっきからなんなの⁈好き勝手言いやがって‼私はあなたを産んであげたのよ⁈感謝の言葉も言えないの⁈」
今日初めてお母さんは声を張り上げる。
昔に戻ったように怒る母にもの恐ろしさが現れる。
けど、先走る口は止まらない。
「は?産んでやったって結局は必要ないんでしょ⁈それなら堕ろせばよかったじゃない‼私は堕された方が幸せだったよ…‼」
もう嫌だったの。
身を裂くような思い。
そんなこと言われるのも、こんなお母さんを見るのも、生きてるのも疲れたよ。
「私は、あんたらみたいな腐った中に生まれたくなかったんだよ…っ」
「…っ」
バンッと勢いよくドアを開け屋上へ走る。
「安藤‼」
赤司の声なんて聞こえなかった。
何人かの生徒は不思議そうにこっちを見るけど今は関係ない。
「うっ……」
声を殺して必死に涙を抑えてた。
ーーお母さんの、息がつまるような表情なんて見てない。
見てないよ。
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「安藤‼」
出て行ってしまう安藤を呼び止めたが遅かった。
後を追うため走るがドアの前で一旦止まる。
「…僕は、あなたは最低な母親だって思います」
背を向け言葉を発する。
「初対面にして失礼な人ね」
無感情なまま安藤の母は笑った。
「怒ってるんで」
「そ」
何がどうあれ、産んだのに無責任で必要ないという安藤の母に怒りが溢れてた。
けど、
「これだけは言いたかったんです」
「…」
思うんだ。
本当は、安藤を産みたかったんだって。
幸せの家庭を築いていきたかったんだって。
だから安藤に『生まれたくなかった』そう言われて、一瞬やるせない顔になったんだと思った。
「安藤を…、Aを産んでくれてありがとうございます」
それだけ言い、安藤の後を追った。
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かのん(プロフ) - はにゃにゃさん» あわわわわわ!!感動なんて…とっても嬉しいです!はい、最近全然書けてませんが気長になってもらえるととても嬉しいです^^最後まで読んでいただきありがとうございました!! (2015年7月10日 22時) (レス) id: d7e3fe352d (このIDを非表示/違反報告)
はにゃにゃ - とっても感動しました!赤司様がカッコよすぎて…気づいたら泣いてました(本当です)これからも他の作品、頑張って下さい! (2015年7月10日 20時) (レス) id: f5f47fce80 (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - マリィさん» ありがとうなのだよ!です^^/// (2015年4月3日 16時) (レス) id: d7e3fe352d (このIDを非表示/違反報告)
マリィ - 泣けるのだよ(キリッ (2015年4月3日 16時) (レス) id: 722c74a1be (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 黒蝶さん» わわわ!最後まで見ていただきありがとうございました^^そんなこと言ってもらえるなんて嬉しいです//わかりやすく伝わっていればいいな、と思います><本当にありがとうございました! (2015年4月2日 16時) (レス) id: d7e3fe352d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かのん | 作成日時:2014年11月23日 15時