よく言うよ、そんな綺麗事【赤司征十郎】

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『いらっしゃいませー、こんばんわー』


コンビニへ入り、店員の挨拶が聞こえる。




見向きもしないでただ言ってるだけ。
そんなの、言われない方がマシ。




「な、なに買うんすか？」

「コーヒー」

「そうなんすか…」



相変わらず片言な言葉で喋る黄瀬。




店内をぐるぐるとコーヒーを探し回る。


……どこだろ。


お義母さんが好きな種類のものが見当たらない。


この辺だったと思うんだけど…



「あ、あの」

「何」

「このコーヒーっすか？」

「…‼それ」

「やっぱりっスか！このコーヒー好きなんすよね」



少し、表情が明るくなった黄瀬。



「どこにあった？」

「そこっス」

「ありがと」



黄瀬に教えてもらい、
目当てのものが手に入りレジへ急ぐ。が、



途中である雑誌に目が行った。




「これって…黄瀬だ」



バッチリ、髪の毛、服装など整え写っている。


やっぱり、ちゃんとモデルの仕事をこなしてることは分かる。



「あ、なんか恥ずかしいっすね…」



見てたのに気づいた黄瀬は苦笑していて、すっかり買うものは買っていた。



……やっぱり。



「上手だね、表情つくるの」

「え…？」




驚いた黄瀬を一度見て、レジに並んだ。





黄瀬をたまに見てて思うことが多々あった。



黄瀬は表情を作るのが上手だって。

それは、良い意味でもあるけど悪い意味でもある。



群がる女子たちには笑顔を向け絶やさなかった。




でも、いつも苦しそうな作り笑い。




私から見たら、
毎回毎回、本当に笑ってるようには見えなかった。






たまにする、辛そうな顔は、
本当の感情なんだろうなって思わせる。




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