【 歌い手 】色鮮やかなの桜ノ雨【 大型コラボ 】

＊ ページ39

「私、けっこう前から…莉犬先輩のこと、すき…なんです。

でも、いちごも莉犬先輩のこと好きだから…。

大切な親友と好きな人を奪い合いたくないんです！

莉犬先輩も、いちごもだいすきだからっ…。」

今まで鍵をかけていた想いが、一気にあふれだした。

そのとき、ふわっと甘い香りに包まれた。

抱きしめられている感触がして、目を開けてみるとそこには莉犬先輩のきれいな顔が。


今、私…抱きしめられてるっ！？

あの、憧れの莉犬先輩に！？

だいすきなひとに！？


「俺も…Aちゃんのこと、好きだよ。

いつもかわいいな、いい子だな、好きだな…って思ってた。

今、すっごい嬉しい。

Aちゃん、俺と…付き合ってください。」


憧れの莉犬先輩が、私のことをすきって言ってくれたことがたまらなく嬉しくて。

自分の想いをやっと伝えられたのが、すこし恥ずかしいけど嬉しくて。

「いちごちゃんとAちゃんって、すっごくいい友達だね。

あのね、俺こんな手紙もらったんだ。」

そういって見せてくれた手紙には、いちごの気持ちがつづられていた。

『私は、莉犬先輩のことが好きです。

でも、Aも莉犬先輩のことが好きなんです。

本人は違うって言ってるけど、見てたら分かるんです。

莉犬先輩も、Aのこと、好きなんですよね？

どうか、今すぐ告白してあげてください。

私は、莉犬先輩のこともAのことも好きだから。

二人には幸せになってもらいたいです。いちご』

泣きそうになってしまった。

いちご…。ありがとう。

いちごの決意を、無駄にはしないよ。

「こちらこそっ、よろしくお願いしますっ！！」


「本当は、俺から告白したかったんだけどなー(笑)」

そうやって、無邪気な子どもみたいに笑うきみがだいすき。

私の想いの鍵を開けたのは、きみのその表情で。

きみと巡り合えてよかった。

つらいことも、苦しいことも、悲しいことも、二人いっしょならこわくないよ。

いつまでも、いっしょだよ。


幸せいっぱいのふたりを、

やさしく、そしてやわらかく

色鮮やかな桜ノ雨が包み込んだ。

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