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山田太一は鈍い方じゃない
どちらかというと聡い方だ
だけど山田太一が俺のことを否定したり蔑ろにしたことは一度だってない
そこに悠々自適で胡座をかいていた自覚は…ある
「ふーん…まぁいいけどね、私は。あの子が目を醒ましてくれて何よりだよ」
「はぁ?」
喧嘩売ってんのかよ、と言うとおどけた様子で「まさか」と返された
「不誠実なあんたとじゃ先なんてないだろうし。直接聞いた訳じゃないけど、あの子円満家庭に憧れてたっぽいしさ…五条相手じゃ無理難題だろ」
「…なに、お前…これ以上俺をどうしたい訳」
「私はいつでも馬鹿なくらいお人好しでカワイイ親友の味方なだけさ」
「……ちっ」
チャラけて言う硝子に盛大な舌打ちをかますと、腰にてを当ててハァと溜め息を吐かれた
「まあ、今まで通り職場は一緒だからね。山田太一のことだから変に距離取ったりはしないだろうけど…」
山田太一と付き合ってもう10年
正直別れたからといって何が変わるかピンとこない
「うっせえ 」
毒吐きながら校内へ向かった
「あら、五条先生」
「おはよーっ」
「おはようございます。そういえば先日行かれた出張の領収書って持たれてますか?」
「あぁ、えーと…これこれー」
ドアを開けるとタイミングが良いのか悪いのか丁度出て行こうとしていた山田太一と鉢合わせた
しかし気まずさなんてものはなく日常の会話が繰り広げられる
ほら、何も変わらないじゃないか
ポケットから財布を出し要望の領収書を手渡すと山田太一は「ありがとうございます」と言って微笑んでドアから出ていった
…ん?
「五条さん…?どうかされたんですか?」
そこはかとない違和感を覚え口角を上げたままフリーズしている自分を訝しんだ伊地知が声を掛けてくるがそれどころではない
なんだ?
なんだ、この…感覚
ドクドクと心臓が嫌な音を立てる
「伊地知」
「はいぃ!」
途端低くなった俺の声に座っていた腰を上げ直立不動になる伊地知
「山田太一、何かあった?」
「え?お母様が亡くなられたとは聞いてますが…それ以外は特に」
「………知ってたの?」
「は、へぶし!!!」
はい、と伊地知が返事を言いきる前にビンタをお見舞いする
俺は突然の暴力に唖然としている伊地知を気にも留めずガンっと半ば八つ当たり気味に自分の席へと腰を落とした
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√ - わー!めっちゃすきです! (2021年3月13日 19時) (レス) id: c890e5f159 (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 舳さん» 嬉しいっ!!ありがとうございます!(´▽`) (2021年2月25日 19時) (レス) id: 9c488eb26d (このIDを非表示/違反報告)
舳(プロフ) - しんどい…語彙力失いましたとても好きですありがとうございますヽ(;▽;) (2021年2月24日 19時) (レス) id: 1f83f3c66d (このIDを非表示/違反報告)
神無月(プロフ) - かのんさん» かのんさんの欲望の塊を楽しみにしてます((( ・`ω・´)キリッ (2021年2月21日 15時) (レス) id: 27e0c87bdc (このIDを非表示/違反報告)
かのん(プロフ) - 神無月さん» コメントありがとうございます!これからも欲望のまま書きなぐります!(o≧▽゜)o (2021年2月21日 15時) (レス) id: 9c488eb26d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かのん | 作成日時:2021年2月17日 8時