お姉ちゃんを好きな人【五条悟】

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ふわり、

目元を覆うように当てられたあたた温かなタオルにジーンと緊張が解れる
先程入浴し温まったはずだかこれは別物らしい

いや、花子にタオルを当てられ、もう片方や手で優しく髪を解かれ
これは別物以外のなんでもない
…ここ天国だったわ



「……疲れてる、よね。無理してないかたまに少し心配になるの」


優しい声色にさっきまでざわついていた心がみるみる凪いでいくのが分かった
問題は何一つ解決していないというのに

存外自分は単純だったらしい



「ごめんね、頼ってばかりで」



違う

頼ってるのは俺の方だ



花子は精一杯俺の心を守ってくれていた

まるで胸に抱くように大切にしてくれていた



それを当たり前と享受してお前の心を蔑ろにした





どうしたらまた笑いかけてくれる

俺との明日を望んでくれる




「……好きだよ、花子」




ポツリと呟いた言葉に返事はない

だけどどんな顔をしているのかは容易に想像できた


きっと少しだけ眉を下げて困ったような顔をしているだけだ

そこに以前のような嬉しさや幸せを噛み締めるはにかんだ笑顔はない



「……本当に大好きなんだ…」



絞り出した声への返事だろうか、ポンポンと優しく頭を撫でられる

今だけは瞼とタオルに阻まれて見えない花子の顔を自分の都合の良い表情に置き換え、事実連日の任務で酷使している身体の力を抜いた

いざ疲労を自覚してしまえば早いもので、あっという間に僕の意識は深みへ落ちていく



夢の中では僕と花子が誕生日のデートのやり直しをしている

その中の僕が渡した結婚指輪を花子は笑って受け取ってくれた




ーーーーあったかもしれない、そんな未来

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