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「いやー、たまに行くと新鮮で良いね!」
「うん、イルカ可愛かった」
「買ってあげよっか?」
「……悟が言うと冗談に聞こえない」
「冗談じゃないからねえ」
カフェで遅めのランチを取る私達
悟は既に食事を終えて食後のデザートを食べていた…甘さが暴力的な
「ってか何で水族館なの?」
「……」
予想だにしない質問にフォークを持つ手が止まり巻かれていたパスタがポロリとお皿に戻っていった
「き、のう…テレビで特集やってたから…」
「…ふーん…花子て嘘つく時かなり目が泳ぐよね」
ぐっと言葉に詰まる
…この人はどうしてこうも思ったことを口に出さずにはいられないんだろう
恨みがましそうに見る私とは反対に返事を待つ悟はサングラスの向こうでニヤニヤと性格の悪そうな笑みを浮かべていた
これは言うまで折れないやつだ
「…見たくなったの。だって水族館…蒼くてキラキラしてて悟の瞳みたいに、綺麗だから」
言うと気配でサングラスの向こうの悟が驚いているのが分かる
少し停止したあと左、上へと視線を移し、右下を向いた後からは掌で顔の下半分を覆ったまま動かなくなった
その耳は僅かに赤くなっていて…
「……もしかして、照れてるの?」
「うるせ」
そのまま私達の間に沈黙が流れる
でもそれは気まずいものではなくて…
…期待してもいいんだろうか
いつか、もう少し時間が経って
こうして二人の時間を重ねていったら、もしかしたらゆっくりと悟は私のことをみてくれるようになるんだろうか
昨日お別れについて考えていたばかりだというのに、なんだか幸せすぎて
…未来を、想像してしまった
あるかな
…あると嬉しい
本当の意味で私と悟が一緒にいられる明日が
ピリリリリ、ピリリリリ…
「!」
突然の呼び出し音に驚き慌てて鞄を探りスマホを取り出す
“硝子さん”
画面に写された名前に思わず二度見する
悟や姉の関係でたまに顔を合わせたりするが、電話なんて掛かってくるのは何年ぶりか
悟は目の前にいるため悟のことでもない
…もしかしたら
嫌な予感が頭を巡る
私の緊張感が伝わったのか悟も訝し気にこちらを見ていた
「…はい」
『久し振り、花子。分かる?』
「あ、はい。お久し振りです硝子さん」
『うん、それで突然本題で申し訳ないんだけど…』
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ksbgtenmushi(プロフ) - すごく好きな作品でいつも続き楽しみにしてます!!是非続編のパスワード教えていただきたいです(o^^o) (2021年5月1日 1時) (レス) id: e9d7731bcb (このIDを非表示/違反報告)
あずき(プロフ) - いつも楽しく拝見させて頂いてます!!続編のパスワードを教えて頂きたいです。 (2021年4月27日 22時) (レス) id: 1f3621aec0 (このIDを非表示/違反報告)
雪椿(プロフ) - いつも楽しみにしています。続編のパスワードが解けるその日を心待ちにしてます(*^^*)応援してます! (2021年4月26日 22時) (レス) id: e95a52c7d4 (このIDを非表示/違反報告)
noenatsu(プロフ) - 続きがきになります!パスワードを教えて頂きたいです! (2021年4月26日 22時) (レス) id: a7d2cd1144 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 続編も楽しみにしていました! パスワードを教えていただけないでしょうか? (2021年4月26日 20時) (レス) id: 947d5e398f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かのん | 作成日時:2021年2月26日 0時