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何だかんだで穏やかに日々は過ぎ、あっという間に私の誕生日がやってきた
去年の誕生日、悟は私のために任務を前倒しして休暇をもぎ取り丸1日傍にいてくれたのだ
悟はその強さのため基本的に多忙で津々浦々あちこちを転々としている
そんな彼の1日を貰える贅沢…急な任務の可能性もあるが期待してもいいんだろうか
「…」
そこまで考えてから自分に驚いた
いつからこんなに贅沢になってしまったんだろうか
「おっはよーっ!!」
「ひっ!!」
突然の物凄いハイテンションで自室から現れた悟に、危うく手に持った包丁が反対の指を切り落とす勢いで下ろされたが回避…冷や汗が止まらない
「危ない…」
「メンゴー」
私の恨み言に全く感情の籠ってない謝罪を口にする悟
手にはスマホが握られていた
「…仕事?」
「違う違う!今日1日オフになったんだー、ねえどっか行かない?折角の誕生日だし」
「本当?!」
まさか本当に1日一緒にいられるなんて!
ぐいっと詰め寄る私に一瞬キョトンとした悟だが、直ぐにニッと笑って「マジマジ」と頷く
「朝御飯食べて出ようよ。それまでにどこ行きたいか決めててー」
「うん!」
返事をした私は急いで朝食の続きを作り始めた
その後ろ姿を悟くんが優し気に見てたなんて知らない
「わっ、綺麗!」
「何で水族館?」
はしゃぐ私に不思議そうに目を向ける悟
どうにも正直に理由を話すのは恥ずかしくて「ひみつー」と誤魔化してしまった
「お、鯛じゃん」
「ホントだー」
「旨そうだね」
「やめて?」
悟の感覚に引いていると「ウソウソ」と笑いながら訂正される
…絶対嘘じゃない
水族館の中にあるお土産屋さんに入ると一番にイルカの模様の描かれたペアのマグカップが目に入り手に取る
じっと見ていたことに気が付いたんだろう、悟は私の真横に立ち手元を覗き込んでくる
「欲しいの?」
「ううん、大丈夫。少し見てただけだよ」
言いながらカップを置く
ペアな物を欲しがるなんて…何だか恥ずかしくなって「あっち見てみようよ」と食べ物コーナーへ悟くんを誘導した
終らないとと思っている関係にまるですがる様な自分が益々情けない
今日だって本当は日頃疲れてる悟を休ませてあげるべきなのに…
欲求ばかりを優先する自分がとても醜くて
ぐっと爪が掌に食い込む程握りしめる私を悟が探るようにじっと見つめていた
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ksbgtenmushi(プロフ) - すごく好きな作品でいつも続き楽しみにしてます!!是非続編のパスワード教えていただきたいです(o^^o) (2021年5月1日 1時) (レス) id: e9d7731bcb (このIDを非表示/違反報告)
あずき(プロフ) - いつも楽しく拝見させて頂いてます!!続編のパスワードを教えて頂きたいです。 (2021年4月27日 22時) (レス) id: 1f3621aec0 (このIDを非表示/違反報告)
雪椿(プロフ) - いつも楽しみにしています。続編のパスワードが解けるその日を心待ちにしてます(*^^*)応援してます! (2021年4月26日 22時) (レス) id: e95a52c7d4 (このIDを非表示/違反報告)
noenatsu(プロフ) - 続きがきになります!パスワードを教えて頂きたいです! (2021年4月26日 22時) (レス) id: a7d2cd1144 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 続編も楽しみにしていました! パスワードを教えていただけないでしょうか? (2021年4月26日 20時) (レス) id: 947d5e398f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かのん | 作成日時:2021年2月26日 0時