君へのSong (ページ44)

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44＊Daigo Side ページ44

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「大吾さん連絡とってますか？正門さんと…」

Aは突然似合わへん遠慮がちな声できいてくる。

「いや、最近はあんまり」

あんまりどころがあの日以来、全く連絡とってへん。

ひどい言い方してしもて謝らなあかんとは思ってるけど…なんて言ったらええんかまだ気持ちが追いつかん。

「正門さんと…喧嘩したって本当ですか？」

俺は思わず唐揚げを喉に詰まらせそうになって、慌てて烏龍茶のペットボトルの蓋をあける。

「詩織ちゃんにきいたん？」

「まぁそれも…ちょっとあります」

「勘違いやから」

「何があったんかわかんないですけど、でも2人なら大丈夫ですよ、きっと」

いや、Aが原因やで、なんて口が裂けても言えへん。

「正門さんちゃんと事務所と契約したみたいで最近すっごく忙しそうで、もう路上でライブもやらないから、なかなか会えなくて」

そんなさみしそうな顔すんなよ。

「なのにLINEでも電話でも大吾さんのことばっかりきいてくるんですよね。なんかあったんですかって言ってもはぐらかすし。あいつ元気にしてる？とか自分できいてくださいって感じです全く！」

不服そうな顔で口を尖らせるAになんか笑いそうになる。

っていうかどいつこいつもおしゃべりやな…

「正門さん、ライブに大吾さんが来るとめちゃくちゃ嬉しそうな顔するし、このフレーズは大吾さんが褒めてくれたとかわたしに自慢されても困ります」

「話がみえへんねんけど、Aは俺に妬いてんの？」

「なんでわたしが大吾さんに妬かなくちゃいけないんですか！」

「勝手に怒らんとってくれる？」

「なにがあったんがしらないですけど、仲直りしてくださいって言ってるんです」

Aは真剣な顔で、

めっちゃ酷なことを言う。

伝えようとしたことはないけど、ほんまに1ミリも俺の恋心はAに伝わってへんねんなって改めて思う。

「無理かもしれへんな」

「そんなひどい喧嘩したんですか？何あったんですか…？」

Aは心底、心配そうな顔で俺を覗き込む。

「Aと正門がうだうだしてる限り無理かもしれへん」

「？？」

Aはきょとんした顔でこっちを見てる。

「鈍感女。曲聞いて恋心の勉強しろ」

我ながらめちゃくちゃ勝手なこと言いながら、Aの頬にキャンペーンシールを貼り付けて俺は席を立った。